WBC落選効果に岸も乗る。日本シリーズMVP右腕が、満を持して本拠地開幕戦のマウンドに上がる。2連敗中の王者西武は7日のオリックス戦(西武ドーム)で岸孝之投手(24)を先発に起用する。オリックス戦の岸は昨季6試合で4勝無敗、防御率1・71と抜群の相性を誇る。第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の最終メンバーの落選組は開幕カードで大活躍しており、悔しさを味わった岸が意地に懸けても続く。

 登板前日の練習を終えた岸は、西武ドームの人工芝に寝転がった。天井を見つめ、大の字になった。球場の外には、満開の花を咲かせた桜が見える。「目を閉じて。深呼吸して。自分が桜の花びらになったと思って、天井にヒラヒラと舞い上がります」。石井一が即興で考えたリラックス法を一緒になってやると、不思議と体の緊張がほぐれ、心が和らいだ。「カズさん、明日、勝てそうな気がしてきました!」。先輩に導かれてリラックスし、また1年間お世話になる球場と一体化した。

 準備は整った。いよいよ3年目の戦いが始まる。今季初戦は、ただの1試合ではない。「状態どうこうじゃない。勝てればいい」と静かに決意を語った。2月のWBC合宿で最終メンバーから漏れた悔しさが、原動力になった。同じような思いをした女房役の細川は、開幕戦で決勝の逆転3ランを放った。ソフトバンク松中、和田の活躍ぶりにも胸を熱くした。「みんな頑張ってますからね。岸だけ…とはならないように」とはにかんだが、“落選組”が見せつけた意地は、岸に勇気と力をくれた。

 オリックスとは相性がいい。昨季は負けなしの4勝。ローズ、カブレラら強力な外国人勢に、本塁打は1本も許さなかった。「前にランナーを出さないように。打たれてもソロならいい」という開き直りが、好投を呼んでいる。チームは開幕カードのロッテ戦で1勝2敗と負け越し。連敗した嫌なムードを変える力を、日本シリーズMVP右腕は持っている。西武ドームでは、日本シリーズで巨人を完封して以来のマウンドで、本拠地のファンも期待している。世界一に輝いたWBC組に負けない実力を証明する時がきた。【柴田猛夫】

 [2009年4月7日8時31分

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