<ヤクルト8-4中日>◇8日◇神宮

 こちらもアラフォーが活躍!

 ヤクルト木田優夫投手(40)が中日戦(神宮)でオリックス時代の98年8月以来の先発で5回を投げ、6安打3失点で今季初勝利を挙げた。11年ぶりの先発はプロ野球最長で、球団で40歳代投手の先発勝利は92年の新浦以来2人目。ベテランが中日の開幕連勝を4で止めた。

 左手に巻いた包帯が痛々しかった。それでもお立ち台に立った木田は「なんでここに呼ばれたか分かりません」と笑顔を見せた。ファンから「謙遜(けんそん)するな~」の声に、「謙遜なんてしていません。もともと謙虚な人間なんです」と応じた。「(明石家)さんまさんがついてるぞ」という声援にも「そのうちさんまさんも来てくれると思います」と周囲の爆笑を誘った。

 98年8月以来の先発だったが、初回、いきなりアクシデントが襲った。プレーボールから3球目、荒木の打球が左手親指の付け根を直撃した。真っ赤に腫れ上がった。ベンチで治療を受け続投したが、森野に先制3ランを浴びた。「やっちゃいけないと思っていたこと。先発の立ち上がりは難しいですね。今日は失敗でした」。

 それでもベテランらしく粘った。2回途中から5回まで直球を低めに集め打者12人を連続で抑えた。反撃ムードを盛り上げたのも木田だった。3回の打席で三塁前へのボテボテの当たりを全力疾走でセーフ。野手陣の闘志に火をつける走りだった。巨人時代の96年8月21日、横浜戦で放って以来の安打に「ぼくにとっては、先発白星よりも遠ざかっていた。野球をやっていて楽しいことの1つでもありますから、これからも打っていきたい」。ウイニングボールではなく、安打を放ったボールをほしがったのは木田らしかった。

 今季から本拠地勝利の後はナインが整列してファンの声援に応える。カーテンコールの主役となった木田だが、11年前、最後に先発で勝った試合のことは覚えていなかった。「11年ぶりは史上最長ブランク?

 長いことやっていれば、いろんなことがあります。でも11年間先発で勝ち続けている人に比べたら、たいしたことはないですから。十何年ぶりとか、40歳にしてはとか、そういうのばかりだけど、取り上げてもらうのはうれしい」。次回登板は15日巨人戦の予定。「出番があれば、一生懸命投げたい」と40歳右腕は最後まで謙虚だった。【竹内智信】

 [2009年4月9日8時59分

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