<広島5-0巨人>◇28日◇マツダスタジアム

 開幕から独走している原巨人に異変だ。マツダスタジアムで初の広島戦に0-5と完封負けを喫した。26日の中日戦(東京ドーム)に続く2戦連続完封負けは9年ぶりの屈辱。さらに広島相手に、今季3敗1分けと白星がない。自慢の打線が陰り、最近5試合は1けた安打で、平均得点はわずか1・8点。先発した内海哲也投手(27)は5回1/3を投げて5失点、またも今季初勝利はならなかった。

 開幕から好調だった巨人の歯車が、かみ合わなくなってきた。広島大竹に6安打に抑え込まれ無得点。00年以来9年ぶりとなる2戦連続の完封負けを喫した。チェンジアップに苦しめられた打線について、篠塚打撃コーチは「投げるのは分かっていたけど…」と脱帽。4番ラミレスも「研究しきれない球が来た。(大竹のチェンジアップは)秘密のウェポン(武器)だ」と肩を落とした。チームはこれで5試合連続の1ケタ安打。一時の勢いは完全に失われている。

 攻略するチャンスがないわけではなかった。6回表1死二塁の先制のチャンスで、小笠原が左前安打を放った。外野は前進守備で強い当たり。二塁走者が生還できるかは微妙なタイミングだった。無理せずに1死一、三塁で4番のラミレスの勝負強さにかけるのが賢明な選択に見えた。しかし、一気に本塁を狙った鈴木は本塁で憤死した。ゴーサインを出した三塁コーチの緒方外野守備走塁コーチは「自分の責任」と言い訳しなかったが、伊原ヘッドコーチは「無理は無理なんだろうけど…。オレも経験があるけど(鈴木)尚広だと色気が出ちゃうんだよ」と代弁した。二塁走者が球界屈指の俊足を誇る鈴木であったことが、判断を誤らせた。

 これで流れは変わった。5回まで3安打無失点と好投していた内海が、この攻撃の直後の6回裏に崩れた。鶴岡の野選も絡んでピンチが広がり失点を重ねた。この回、決定的な5点を奪われて完敗した。

 セ・リーグの貯金を独り占めしているのに、どういうわけか広島にだけは勝てない。昨季は負け越し。今季も4試合を戦って3敗1分けとまだ白星がない。苦手意識を引きずるのは、今後の戦いにも影響する。

 投打がかみ合わない現状について、原監督は「今はチームバランスが狂っている。でも、いい時も悪い時も全員で戦っているわけですから。明日からまた戦っていくということ」と前を向いた。幸い、追い掛けてくるチームの足音はまだ聞こえてこない。傷口が小さいうちに、ぐらついている足場を固め直す必要がある。【広瀬雷太】

 [2009年4月29日9時7分

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