ついに怪物が1軍デビューする。日本ハム中田翔内野手(20)が20日の巨人戦(札幌ドーム)で1軍初昇格することが19日、決定した。ターメル・スレッジ外野手(32)が左太もも裏痛で出場選手登録を抹消され、イースタン・リーグで12本塁打、44打点で2冠の中田が緊急昇格となった。この日、セ・パ交流戦が開幕。日本ハムは巨人との“セ・パ首位対決”で打線が20安打で16得点と爆発し、16-6で圧勝した。両リーグトップのチーム打率2割9分9厘の強力打線に2年目の若き大砲が加入。巨人を力でネジ伏せ連勝を狙う。

 怪物のプロ1歩には、これ以上ない舞台が用意されていた。中田がついに1軍デビューを果たす。交流戦開幕の巨人戦で打線が爆発している試合中、中田は飛行機で東京から北海道へ移動していた。「試合に出られたらプレッシャーに負けずに、2軍でやってきたことを見せたいです」と意気込んだ。

 この日午前中、左太もも裏を痛めていたスレッジが札幌市内の病院で精密検査を受けた。結果は軽度の筋挫傷。首脳陣は出場選手登録を抹消し、治療、リハビリに専念させる決断を下した。巨人戦後、梨田監督は「明日は中田翔が来ます。20歳になって、大人の中田が見られると思う。ファンの人もだいぶ楽しみにしていたしね。少ないチャンスをものにしてほしい」と明かした。

 中田はこの日、午後1時からのイースタン・リーグのヤクルト戦(戸田)に出場。3打数1安打2打点で連続試合安打を「7」に伸ばした。1軍昇格の連絡を受け、千葉・鎌ケ谷の合宿所に帰寮し、羽田空港へと向かった。オープン戦の3月以来となる本拠地。「やっぱ、寒いっすね。北海道に来られてうれしいです。1軍に上がれるとは思っていなかったので、ビックリしてます」と、驚きを隠せなかった。

 2年目の今季は開幕1軍こそ逃したものの、同リーグでは39試合で打率2割9分9厘、12本塁打、44打点と本塁打、打点の堂々リーグ2冠。3、4月度の月間MVPも受賞した。将来の主砲として長期的な育成プランを組んで、ここまで慎重に1軍昇格を見送ってきたが、梨田監督は「スレッジの代わりに大きいのが打てるから」と長打力に期待をかけた。

 20日の巨人先発は右腕グライシンガーが予想されるためベンチスタートが濃厚だが、梨田監督は「起用法は決めていない」と明言を避けた。勢いを買われて6、7、8番の打順で指名打者、一塁起用の可能性もある。巨人に打ち勝った両リーグトップの打率2割9分9厘の強力打線に中田が加われば、パンチ力が増す。

 オープン戦では、まだ1本のヒットも打っていない札幌ドーム。だがルーキーイヤーだった昨年の練習試合初戦、オープン戦初戦など、節目の試合では必ずアーチをかけてきた。“セ・パ首位対決”巨人との第2戦で勝利に貢献できるか。地元ファンが見守る交流戦の開幕シリーズ。怪物のプロデビューの打席が注目される。

 [2009年5月20日9時15分

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