<日本ハム16-6巨人>◇19日◇札幌ドーム

 日本ハム二岡智宏内野手(33)が古巣相手に恩返しの猛打賞だ。巨人戦に6番DHで5試合ぶりに先発した。0-3で迎えた4回に反撃ののろしを上げる中犠飛で追撃ムードを整えると、5回にはダメ押しの適時打。6、8回にも安打を放ち、4打数3安打2打点と移籍後2度目の猛打賞でチームの勝利に貢献した。二岡の活躍もあり、打線は先発全員安打をマーク。今季最多の20安打&16得点で巨人に打ち勝った。

 古巣巨人相手に、二岡が快音を連発させた。3安打2打点。「(古巣を)試合に入ったら気にすることなくできました。それよりも結果を出したいと思っていましたから」。最後に打点を挙げたのは4月16日のオリックス戦。首位を走るチームの中で1人抱えていた“乗り遅れ”感に、節目の試合で決別した。

 今季最多16得点の猛打ショーは、二岡のバットから始まった。3点を追う4回無死満塁の好機。背番号23には今季一番の大歓声が降り注いだ。「ありがたいことですよね」。カウント1-2からの4球目直球を中堅後方へ。追撃ののろしを上げる犠牲フライは、スタンドの雰囲気を一変させた。鶴岡、金子誠の連続適時打と田中の二ゴロで一気の逆転劇。猛打の巨人打線をしのぐ攻勢で、セ首位チームのお株を奪った。

 5回1死二、三塁の場面では三遊間を破る左前適時打。6、8回にも安打を放って今季2度目の猛打賞。負傷で離脱したスレッジがいない打線が、今季初めての先発全員安打を記録。Hランプは20度も点灯した。

 下半身に不安を抱えるため、ベンチをあたためる日も多い。DHや代打での出場に「試行錯誤ですね、難しい」。ナイターとデーゲームが混在するパ・リーグの日程にも戸惑った。相手の遊撃にはポジションを争った坂本がいたが「気になる?

 それどころじゃない」。試合後には連日最後まで居残って打撃練習、体のケアを続けている。

 苦しんでいる姿は見せたくなかった。相手ベンチで見つめる恩師の目。トレードが決まった際、近所に住んでいたこともあって近くの中華料理店に誘ってくれたのが、篠塚打撃コーチだった。たわいもない話から、巨人での思い出話まで、家族ぐるみの付き合いがある恩師との会話1つ1つが、不安な気持ちがあった自分を落ち着かせてくれた。チームに貢献できたことと、恩師に元気な姿を見せられたこと。試合後の安堵(あんど)した表情は2つの思いが交錯していた。

 安堵したのは指揮官も同じだった。梨田監督は「声援が力になったんじゃないかな。必死さが伝わってきたね」。交流戦初戦の白星は、1勝以上に大きな価値があった。【本間翼】

 [2009年5月20日10時19分

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