<中日1-0日本ハム>◇24日◇ナゴヤドーム

 中日トニ・ブランコ内野手(28)が本塁打王争い単独トップに立つ12号バックリーン弾で試合を決めた。0-0の4回、日本ハム先発武田勝の外角チェンジアップをとらえた。6回にも右前打を放ち、5月は打率4割1分、8本塁打、18打点。交流戦は5戦4発と打棒を爆発させている。チームは勝率5割復帰まであと1勝。打線が本来のつながりを欠く中、圧倒的な存在感でけん引している。

 外角チェンジアップに、バットの芯を外された。それでもブランコの場合は、打ち取られたことにならない。高く舞い上がった打球は中堅手のはるか上を越え、バックスクリーンに突き刺さった。0-0の4回2死走者なし。本塁打王争い単独トップに立つ飛距離135メートルの12号ソロで、貴重な1点をもぎ取った。「バットの先だったので入ってくれてよかったよ」。気持ちよさそうに振り返った。

 これで交流戦5戦4発。5月は8本目。好調ぶりに拍車がかかってきた。4月は打率2割2分7厘、4本塁、12打点と低迷。内角の速球と外角に逃げる変化球に翻弄(ほんろう)され、パニックに陥った。それでも4番にすえ続けた落合監督の打撃指導に食らいつき、スコアラーがつくるチャートを徹底研究。投手の攻め方のパターンも頭にたたき込み、5月は打率も4割1分、打点は18。月間MVPは完全に射程圏だ。

 これほど早く日本野球に順応できたのは、2年目の同僚デラロサの存在が大きい。同じドミニカ共和国出身。ともにメジャーでの成功を夢見ていたが、志半ばで挫折した共通点がある。春季キャンプから相談に乗ってもらい、公私両面で頼りにしてきた。キーワードは習うより慣れろ。珍しい食べ物にも果敢に挑戦し、今ではすっかり日本食通。はしを器用に使って豚骨ラーメンをすするのを楽しみにしている。

 打線は相変わらず乗り切れない。ブランコが6回に右前打を放っても、後続が倒れて無得点。4回のソロアーチが唯一の得点で、投手陣の踏ん張りと再三の好守で逃げ切った。「今はみんなが打てない時期。でも神様は見ている。必ず盛り返してくるよ」。本来のチーム力が戻るまで、不動の4番ブランコの力は欠かせない。【村野

 森】

 [2009年5月25日11時50分

 紙面から]ソーシャルブックマーク