<中日5-4阪神>◇30日◇ナゴヤドーム

 そ、そんなアホな…。それまで粘りに粘っていた左腕エース下柳剛投手(41)が6回、中日藤井にまさかの逆転満塁弾とは…。アニキの先制タイムリー、赤星の2点適時打など速攻で4点を奪った打線も、3回以降は勢いをなくして沈黙。クライマックスシリーズ(CS)圏内の3位中日とは、これで8ゲーム差に広がった。もう、そんな負の数字は見たくない。ツキも変わった7月、正念場を乗り切ってくれ!

 押し出し四球、追撃の一打、いやいや、走者一掃の長打までも想定していた。だがまさか、その上をいかれるとは…。マウンド上の下柳と同じ気持ちになってベンチで粘っていた真弓監督が、左翼席に突き刺さる逆転満塁弾にぼうぜんとした。

 2回までに6安打で4点を奪う理想的なゲーム展開だった。じわじわと追い上げられて、6回裏1死満塁。藤井に浴びた一発で天地がひっくり返った。

 真弓監督

 下柳はよく我慢して投げてくれていたんだけど。同点までなら何とかね。後の戦い方も変わってきただろうけど。

 4回に1点を返され、5回にも無死二、三塁と攻め込まれた。捕まりかけた下柳だが、リードを保っている間は代えるつもりはなかった。6回裏も一死一塁で警戒していた4番ブランコに左前打を浴びて一、三塁。ここで久保投手コーチがマウンドに向かったのは、ひと呼吸入れるためだった。微妙なボールの判定もあり、和田を歩かせて満塁としても、指揮官は下柳の粘り腰にかけた。

 真弓監督

 ああいう投球で粘っていくのが下柳だったからね。ただ走塁で揺さぶられたのは反省。点につながっていくし、自分の投球ができなくなったというところはあるからね。

 4回は井端と荒木が楽々二盗に成功。5回には走者藤井と打者英智にエンドランを鮮やかに決められた。ジャブの連打に歯を食いしばっていた下柳が、タオルを投じる直前でKOパンチに倒れてしまった。

 1試合4盗塁を許したのは今季ワースト。4点差の逆転負けも今季初で、サヨナラ勝利直後の試合は4連敗という乗り切れないジンクスを伸ばした。ビジターでの連戦初戦は交流戦を挟んでこれで8連敗(通算2勝10敗)と出はなをくじかれる。苦しい数字を跳ね返せず借金はまた9に増えた。

 首位巨人とは14・5ゲーム差。ファンの現実的な夢でもあるCS進出圏内も、3位中日に8ゲーム差と引き離されて遠のいていく。相手が7連勝と加速しているところで、食い止めるしか手だてはない。4点リードを守れなかったショッキングな1敗で、真弓阪神が土俵際にまた近づいた。【町田達彦】

 [2009年7月1日13時9分

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