虎のおかわり君が、低迷打破の起爆剤になる!

 近日中の支配下登録が決まっている阪神育成枠のルーキー野原祐也外野手(24)が25日、甲子園で行われた1軍練習に初参加した。フリー打撃、走り込みなどで汗を流し、和田豊打撃コーチ(46)からは思いきりの良いスイングを評価された。26日は1軍のシート打撃でアピールする。

 野原祐の真っ赤に染まったほおを、大粒の汗が流れる。初の1軍練習終了後。心も体もヘトヘト。それでも、虎のおかわり君の異名を持つ大砲は、愛嬌(あいきょう)たっぷりのニコニコ顔で声をはずませた。「めちゃくちゃ緊張しました!

 僕はまだまだ技術が下手くそ。声を出したり、思い切ってやろうと思いました」。後半戦に向け練習を再開させたチームの雰囲気を初々しさで和ませた。

 全体アップ前の野手ミーティングではガチガチに緊張しながらナインにあいさつ。練習中には先輩たちと会話を交わしたはずだが「いっぱいいっぱいで何をしゃべったか覚えてません…」と苦笑いした。がむしゃらに一心不乱に。1軍の雰囲気を全身に染みこませながら、2時間半の練習に集中した。

 新室内練習場でのフリー打撃中は和田打撃コーチから熱視線を送られた。思いきりの良いフルスイングから右に左に鋭い当たりを連発。「バッティングでアピールしたかったんですが…」と納得できない様子だが、評価は悪くない。ともに1軍練習に初参加したルーキー柴田との2人について、同コーチは「ファームでしっかり結果を出すだけのスイングをしている」と納得顔。ウエスタン・リーグ59試合で打率3割9厘、2本塁打、19打点の実力を披露した。

 チームはすでに自力優勝が消滅し、クライマックスシリーズ出場圏内の3位以上も極めて厳しい情勢。来季を見据えて若手育成への機運が高まっている状況下で、イキのいい若手の代表格として1軍練習に呼ばれた形だ。まだ育成選手にもかかわらず巡ってきた大チャンス。虎のニューヒーローになるために、ガムシャラにアピールするつもりだ。

 すでに近日中に支配下登録を勝ち取ることが決定的。26日の1軍練習ではシート打撃に参加予定で「アピールできるように」と鼻息荒い。和田打撃コーチは「実戦形式で見たいね。(1軍は)明日すぐにどうこうじゃなく、編成上の問題もあるからね。(1軍昇格)候補に入ってくるまでになってくれたら」と期待する。一線級投手から快音を響かせることが、夢の1軍昇格への近道。「とにかく一生懸命やるだけです!」。目をギラつかせる背番号123が、虎の未来に光を放つ。

 [2009年7月26日12時44分

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