<阪神8-2広島>◇23日◇京セラドーム大阪

 阪神真弓明信監督(56)がベンチの中で激しく動いた。5回裏に球数86球の下柳に、代打を送った。これまでは先発投手を引っ張る傾向があったが、もう1敗もできない厳しい状況で攻めのタクトが光った。耐えてしのげば、チャンスはきっと来る。「先に点を取られると、向こうにペースになってしまう。うまくつなげないといけなかった」。残りの4イニングを4投手でリレーし、初回の2失点だけで切り抜けた。

 7回表の投手起用は、勝利への執念を感じさせた。2死二塁で、アッチソンを投入。相手の打者は、阪神に相性のいいフィリップスだった。右腕にとっては、燃えるシチュエーションだった。04年の3Aオールスターで対戦し、サヨナラアーチを浴びている。「流れを切って、次の攻撃を信じて投げた。ちょっとは借りを返せたかな」。スライダーで見逃し三振を奪い、最高の救援を見せた。このワンポイントリリーフが直後の逆転劇を呼んだ。

 2番手の筒井も真弓監督らしい起用だった。先発で2度も背信投球を続けたが、2軍には落とさず、中継ぎに戻した。左腕は意気に感じた。「3回連続で打たれると、監督も使いにくくなる。無駄な力を抜いて、投げた」。ピンチでアッチソンにマウンドを譲ったが、上々の内容だった。クライマックスシリーズ進出に望みをつなぐ継投。次のカードで戦う横浜には4連勝中だ。「もうゲーム数も少なくなっている。1戦1戦を大事に戦いたい」。指揮官の声にも力がこもる。猛追の雰囲気がプンプンと漂ってきた。

 [2009年8月24日11時31分

 紙面から]ソーシャルブックマーク