<横浜4-1阪神>◇27日◇横浜

 最後の打者を三振に仕留めると、横浜三浦大輔投手(35)は力強く右手を突き上げた。完投での10勝目。3連敗中に主軸打者の不在…。あらゆるチームの窮地を振り払った。積み重ねた通算134勝目は遠藤に並び球団3位タイ。ハマの番長が歴史に名を刻んだ瞬間だった。

 阪神キラー健在だ。通算40勝目に「他のチームと一緒ですよ。同じ気持ちでやっている。たまたまですよ。今日も紙一重ですから」と話す。立ち上がりの1回表には珍しく制球に苦しみ2四球。新井の右前打を吉村が強肩で刺し、グラブをたたいて喜んだ。「大きかったですよ。立ち上がりで不安定なところがあったんでね」と救われていた。

 援護があれば、修正できる。「タメとかポイント。修正しながら立ち直れた」と話した。毎日のように昼すぎには球場の観客席を走り、調整を怠らない。キャンプ中には宿舎ホテルのガラスを鏡がわりにしてシャドーピッチングも行った。「毎日ではないですけど、それが自分のフォーム作りですから」。基本をやり続けたからこそ、今がある。

 内川不在の打線で、バットでも奮起した。7回に内野安打を放ち、押し出しで先制のホームを踏んだ。田代監督代行も「気合が入ってたね」と目を細めた。借金30超でもファイティングポーズを下げない。プロの存在感を最後まで見せ続ける。【今井貴久】

 [2009年8月28日8時17分

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