<巨人5-3中日>◇21日◇東京ドーム

 目前胴上げは許さない!落合中日は首位巨人との直接対決第1戦(東京ドーム)に3-5で敗れ、5年ぶりの巨人戦負け越しが決定した。ゲーム差は今季最大タイの9に開き、最短であす23日にも目の前で優勝が決まる。この土壇場で選手会長・荒木雅博内野手(32)は「胴上げ阻止」を誓った。他の選手も一様に2戦目へと気持ちを切り替えた。3年ぶりのリーグ優勝は風前の灯火だが、今こそ最後の意地を見せたい。

 試合後、東京ドームに響き渡る大歓声を背に三塁側ロッカーから敗軍が引き揚げてきた。巨人先発東野に7回まで3点に抑えられ、04年以来、5年ぶりの巨人戦負け越しが決定した。ゲーム差は5月15日以来、4カ月ぶりに今季最大の9に開いた。

 選手たちが屈辱に耐えながら歩を進める中、選手会長の荒木が悔しさをにじませながら言葉をしぼり出した。「東野?

 思い切りのいいピッチャー。思い切りよく投げられている。でも、次は打つよ…」。2回に李のソロで先制した。3回には連続四球で1死二、三塁の好機をもらった。だが、得点は森野の内野ゴロでの1点のみ。チャンスをつくりながらも相手の大胆な内角攻めに屈した。

 これでさらなる屈辱を味わう可能性が出てきた。22日、23日と連敗、あるいは1敗1分けで、目の前で巨人の3連覇を拝むことになる。荒木はそれを聞くと、険しい表情になった。「目の前での胴上げ?

 僕は見たことはないかな…。それだけは絶対に阻止したい」。中日が最後に目前胴上げを許したのは00年9月24日、東京ドームで巨人に逆転負けを喫し、長嶋監督が宙を舞った時。04年に就任した落合監督も、01年から1軍に定着した荒木も、相手の胴上げを見たことはないのだ。

 「何にもないよ。何にもないったら、何にもない」。ライバルにシーズン勝ち越しを許した落合監督は、それだけ言うと微笑を浮かべて帰りのバスに乗り込んだ。振り返れば巨人と8ゲーム差になった5月10日、指揮官はこの日と同じ東京ドームの通路で宣言した。「ここを追いかけられるのはうちだけだ」-。本当にそこから怒とうの逆襲が始まった。一時は1差まで追いつめた。

 だからこそ、荒木は前を見据えて言った。「これで巨人戦が終わるわけじゃない。まだまだ先がある。だから相手に中日は嫌だなと思わせて、勝たないといけない」。巨人を追いかける資格のあるチームとして、最後の意地を見せる時がやってきた。【鈴木忠平】

 [2009年9月22日11時8分

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