阪神が、入団が決まった前マリナーズ城島健司捕手(33)の「凱旋(がいせん)試合」を検討していることが10月31日、分かった。城島の故郷長崎やプロ入り後に過ごした福岡が主催試合の候補地に挙がっている。来季日程は既に固まりつつあるため、早ければ再来年の11年にも実施される。地元密着型の日程を組んできた阪神だが、地方戦略を見直す声もあった。城島の獲得きっかけに「長崎進出」など新たな戦略で勝負に出る。

 城島の存在は、グラウンド以外にも大きな付加価値を球団にもたらす。阪神沼沢球団本部長はこの日、西宮市の球団事務所で取材に応じ、九州の凱旋(がいせん)試合の可能性について言及した。「再来年以降になるだろうが、長崎も候補だ」。スター捕手の故郷で主催試合を検討していることを明かした。かつての本拠地である福岡ヤフードームも以前から公式戦の誘致に熱心という情報もあり、11年以降の「九州シリーズ」が現実味を帯びてきた。

 阪神はここ数年、地元密着型の日程を組んできた。収容人数の多い甲子園や京セラドーム大阪が常に満員状態のため、地方で開催するメリットは少ない。今季も地方は岡山・倉敷の1試合だけ。とは言え、そこは全国的な人気球団。新球場が完成する沖縄など、来訪を熱望する大きい。球団側も営業戦略のスケールアップを考え、他地域の戦略を見直す意見はある。南球団社長も今シーズンが始まる前に「甲子園の試合は減らせないが、2試合ぐらいならできる」と札幌までを含めた地方開催に興味を示していた。

 凱旋試合はその流れに見事にマッチする。九州ではソフトバンク人気が圧倒的だが、城島ブランドで観客動員やグッズ販売など魅力あるカードに生まれ変わることは確実だ。10月27日に阪神入りを表明した際には「僕のホームタウンであることは間違いない」と九州への思いを口にした。移籍を惜しむファンの声も多く、故郷での人気は根強いものがある。タテジマに袖を通した城島が、長崎や福岡で大暴れする-。11年以降という気の早い話だが、実現すれば、注目を集めそうだ。

 [2009年11月1日10時47分

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