西武涌井秀章投手(23)が2日、黄金ルーキー改造計画をもくろんでいることを明かした。この日は所沢市内の西武百貨店所沢店で行われたトークショーに参加。鳴り物入りで入団するドラフト1位、花巻東・菊池雄星投手(18)は、まじめなイメージが強すぎるため「(性格を)崩していきたい」と持論を展開。チームにうまく溶け込めないのではないかと心配し、年齢の近い若手投手陣から徐々に接近させ、西口、工藤といったベテランも巻き込む作戦も練る。エースが側面から、注目左腕をサポートする。

 新年早々、涌井が珍目標を立てた。トークショーでルーキー菊池の話題になると「彼はまじめすぎるので、ちょっとずつみんなで崩していきたい。カズさん(石井一)ぐらいに崩したい。今年の第一の目標です」。リップサービスもあったとはいえ、集まった200人のファンをドッとわかせた。

 菊池の印象は「本を読んでる」というイメージが先行。まだ会ったことはなく、まじめでお堅い印象を抱いている。その点、西武投手陣は“遊び心”にあふれる。通信対戦ゲームを通じて先輩と後輩が交流するなど、オンとオフの切り替えがうまく、自由な気質。「投手陣はあそこまでまじめじゃないから、輪の中に入るのが大変。人間関係でまずつまずくんじゃないかと思う」と、まじめすぎて浮いてしまうのではないかと後輩の身を案じた。

 1軍帯同が内定している春季キャンプでコミュニケーションをとるために、まずは年齢の近い若手を投入する。「最初は木村と野上に任せて、ダメだったら岸くん、涌井のペアで。ダメなら帆足さん、小野寺さんのペアにお願いして、最後は工藤さん。西口さんが何かやってくれると思う」。先輩の力も借りながら、段階を踏んで接近し、投手陣に溶け込むための作戦も考えている。

 そういう自分も、高卒1年目の1軍キャンプで苦労した経験がある。「先輩にいきなり話しかけられないし、ルーキー同士で固まってしまう。その方が楽なんで」という言葉には、思い当たる部分もあった。1年目は余裕がなく、なおかつ、まじめ一辺倒では毎日が息づまってしまう。菊池の性格を少しずつ「崩す」ことが、自然と投手陣に溶け込むための近道。涌井アニキがパイプ役となり、心配な黄金ルーキーのために一肌脱ぐ。【柴田猛夫】

 [2010年1月3日9時32分

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