楽天鉄平外野手(27)は、文字どおりの「鉄人」だった。24日、仙台市内のホテルで行われた激励パーティーの席上、昨年8月の試合中に左手人さし指を骨折していたことを明かした。周囲には事実を伏せ、そのままシーズン終了までプレー。首位打者を獲得するなどチームのクライマックスシリーズ進出へ貢献した。「とにかくケガをせず、1年間1軍にいる。そうすれば全試合出場が見えてくる」と強調した鉄平。屈指のヒットマンは、10年シーズンも鉄の意志で臨む。

 約250人の鉄平ファンが、意外な告白にかたずをのんだ。「誰にも言ってなかったんですけど…。(昨年)8月の初めに、左手を骨折したんです。痛すぎて『当たった』と言えませんでした」と淡々と語った。8月9日の日本ハム戦で、武田勝の投じた内角球が、人さし指に直接当たった。それでも「靴ひもを結べないほど痛かったけど、打撃では一番使わない指だから」。チームの大切な時期に穴を空けることを嫌い、グラウンドに立ち続けた。

 大きな拍手をもらっても「指のことはもういいんです。今は完治していますし」と謙虚だった。司会者に「連続首位打者を」と促されても「甘いものではない。元気でいることが何より大切です」と現実を見た。

 言葉に力を込めたのは守備についての問い。「もっと力を入れたい。ゴールデングラブのチャンスがあれば、取ってみたい」と、勝利のために「鉄壁の守備」を誓っていた。【宮下敬至】

 [2010年1月25日9時41分

 紙面から]ソーシャルブックマーク