楽天の沖縄・久米島キャンプ第3クール最終日の13日、田中将大投手(21)が初のフリー打撃に登板した。まっすぐ立った軸足に約2秒間体重を乗せた上で、力まず、スムーズに腕を振り抜く。ブルペンで継続して取り組み固めたフォームを、打者相手にもそのまま持ち込んできた。外角直球中心の全32球中、逆球、シュート回転のボールは皆無。「練習と変わらず、いいバランスで投げることができた」と手ごたえを得た。

 右足でピンと立ち、ゆっくり体重を移し、ようやくボールが指から離れた。理にかなったバランスだから、誰が見ても重たそうなボールを制球できた。草野に投じた22球目、内角直球。マスコットバットが折れた。草野のバットコントロールはチーム屈指で、シーズン中も数本しか折らない。動作の無駄をそぎ、スローテンポから放たれる剛球。10年版マー君のすごみが、「天才」のバットを折った1球に凝縮されていた。

 17日の紅白戦に登板する。「ネットもあったし、そう内角を突くこともできなかったし。紅白で、しっかり投げます。準備はできてます」。フォーム同様にゆっくりと、堂々と言った。【宮下敬至】

 [2010年2月14日8時6分

 紙面から]ソーシャルブックマーク