巨人ドラフト1位ルーキーの長野久義外野手(25=ホンダ)が、開幕スタメン候補に浮上した。14日、主力がそろうA班主体の紅白戦に3番右翼で先発。4安打1打点1盗塁と、13日の特大弾デビューに続き猛アピールした。3本の単打を各方向へ打ち分ける広角打法を見せ、4安打目は左翼フェンス直撃の二塁打。技術とパンチ力を併せ持つルーキーが、レギュラーの座を一気につかむ勢いだ。

 開幕スタメン候補に駆け上がる4安打だ。3安打を放った後の4打席目だった。6回2死から、ようやく納得のいく1本が出た。福田の真ん中高めのスライダーをバットに乗せ、左翼フェンス直撃の二塁打。「ちょっとボールをこすったんですけど、下半身を使って打てました」。キャンプイン以来取り組んできた下半身を使った打撃に、笑顔を見せた。

 対戦相手が違うからこそ価値があった。13日の紅白戦で特大弾デビューを飾った相手は、2年目の宮本だった。しかしこの日は内海から右前打、久保から左前打、中前打、福田から二塁打と主力クラスの球をはじき返した。原監督は「打撃は結果を出すのが難しいけど、結果の出るスイングをしている」と合格点。伊原ヘッドコーチも「(新人では実力が)抜けてますよ。他球団がドラフトで指名しただけのことはある。開幕スタメン?

 あるでしょう」と絶賛した。

 評価を受けながらも、長野は「まだまだ勉強することばかり。悪かった点はしっかり反省したい」と気を緩めなかった。5、6打席目には内角球を打ち損じ遊ゴロ2本。結局、6打数4安打の結果に、「5打席目のボールは空振りでもよかった。6打席目はボール球。ボールの打ち方が、自分の中にあるんで」と振り返った。

 安打を打てるボールと思えば初球からでも打って出るタイプ。逆に打てないと判断すれば、スイング中からでもバットの軌道を変えて空振りする。それが長野が描く理想だ。実際にこの日、見逃したストライクは1球だった。だからこそ安打にならない球に、バットを当ててしまったことが気に入らない様子だった。高い理想を求めるがゆえに、4安打よりも凡打についての方が雄弁になった。

 2日続いたルーキーの猛打ショー。「教えていただいたことを次のクールもやっていきたい」。日本一連覇を目指すチーム内の日本一厳しい外野争いは、さらに激化。長野が今、その中心にいる。【小松正明】

 [2010年2月15日8時34分

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