背番号「9」を見せる!

 ソフトバンク小久保裕紀内野手(38)が、今春キャンプで原点回帰の長距離フォームに取り組んでいる。ノルマに掲げるシーズン30発以上へ、構えたときに投手から背番号が見えるまで上体をひねる打撃スタイルに変更。本塁打を求めてプロ17年目のスラッガーが大きな1歩を踏み出した。今季の対外試合初出場も、今月26日、広島とのオープン戦(福岡ヤフードーム)に決定した。

 居残り練習のロングティー打撃で、小久保が左翼スタンドへ次々とアーチを運ぶ。その秘密は、豪快スイングに入る直前の動作にあった。「今年は背番号が見えるようにしてる」。構えたとき、グッと左肩を入れて、上体をひねる。投手から見れば、背番号9がくっきりと見える角度だ。「肩を入れて、懐を深くね」。セットしたときに強烈な“タメ”をつくり、ボールをとらえる瞬間、すべてのパワーを伝える。「飛距離を意識?

 そうそう」。通算384本塁打の極意が詰め込まれた構えだ。

 昨年はチーム事情もあって、つなぎに徹した。右打ちもやった。ミートする確率を高めようと、構えは両肩のラインが投手からまっすぐだった。背番号9は、センター方向から見えなかった。だが、今季は違う。小久保は「今、試しているところ」と言った。

 もともと、思い切りひねりあげた構えから、バットの軌道がVを描くのが小久保の打撃フォーム。今シーズンのノルマに自身5年ぶりの30本塁打超と挙げるだけに、原点回帰のスタイルへとかじを戻した。ミートポイントをボール2個分、投手寄りにする意識も体に染み込みつつある。この日の紅白戦では2打数無安打1四球だったが、フリー打撃では快音を残し続けた。

 フォーム変更の仕上げの時期も定まった。秋山監督は主将を務める小久保の対外試合出場期について「福岡に帰ってから」と明言。オープン戦初戦は今月26日の広島戦(福岡ヤフードーム)。小久保も「(オープン戦は)26日からでしょ。そこから出るつもり」と言い切った。キャンプ中の他球団との練習試合は出場を控え、オープン戦14試合と3月16日に組まれた四国・九州IL選抜との試合で、長距離フォームを完ぺきなものとするつもりだ。

 飛距離を求めたプロ17年目のシーズン。他球団の投手にとっては、文字通り目の当たりにする背番号9が、脅威の存在となるはずだ。

 [2010年2月17日11時23分

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