阪神マット・マートン外野手(28=ロッキーズ)が21日、城島効果で来日初安打だ。1、2軍合同の紅白戦(安芸)に1番中堅で出場。城島の1発&パフォーマンスにリラックスし、上園から初安打を放った。一塁では城島のモノマネでガッツポーズも披露。課題の中堅守備もこの日はソツなくこなすなど、動きもよくなってきた。

 一塁を回ったマートンが天高く両腕を突き上げた。3回2死の第2打席、ついに出た来日初安打。メジャーで4番を張った男の珍パフォーマンスに、超満員の観衆もドッと沸いた。それも上園の変化球を捕らえて三遊間を破ったとはいえ、会心の一撃ではない。しかも紅白戦なのに…。10数分前に特大アーチで両腕を突き上げた“あの人”のモノマネだった。

 「初安打だしすごく興奮したんだ。城島さんを見ていい考えだと思ってね。僕も楽しもうと思ったんだ」

 城島効果で待望の1本が飛び出した。第1打席は変化球を引っかけ、実戦は7打席凡退。「そろそろ打たないといけないと思った」ころ、同じ元大リーガーがショーマンシップで盛り上げた。おかげでやや焦りのあった新助っ人もリラックス。ここに「少し準備が早すぎた」とタイミングを遅らせる学習効果もマッチさせた。

 ベンチではモノマネガッツポーズのお返しとばかり、城島が動いていた。マートンが初安打した“記念球”の返球を守備陣に要求。ウイットに飛んだジョークに、ナインがドッと沸き、笑顔を見せた助っ人の心は一層和んだ。

 城島への感謝は尽きない。実は陰のコーチ的存在でもあった。「打撃の話はよくしている。日本で成功してるし、捕手としてゾーンも熟知している。メジャーも経験して英語も話せるし、大きな存在。すごく助かっているんだ」。その一言一言が成功への金言だ。「状態は良くなってきた。少しは遊撃方向に飛んでくれたしね」。前日は三塁ゴロ3つだったが、この日は左前打と遊ゴロ2つ。打球角度が、理想の中堅返しに近づいたと、舌も滑らかだ。

 「ヒットが出ると気分がいい。次の塁を狙うのは当然さ」。初安打直後には、大きなリードから、サインで初の二盗も敢行。ランエンドヒットの形で坂が中前打すると、二塁を蹴って猛烈スライディングで三塁を陥れた。

 課題の守備でも、浅井の大飛球をランニングキャッチ。安打処理ではカットマンへ落ち着いた返球を披露した。真弓監督は「守備も意欲的だったし、キレのいい動きがあった。体調に合わせて仕上げてきてるんじゃないか」と変わり身に手応え。城島効果で、ポスト赤星にエンジンがかかってきた。

 [2010年2月22日11時46分

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