ソフトバンクが王貞治球団会長(69)を軸に、シーズン後のFA残留交渉を行うことが8日、明らかになった。小林至取締役(42)が今オフのFA交渉について「当然あります」と王会長が直接出馬することを明言した。チーム内では順調にいけば川崎宗則内野手(28)、和田毅投手(29)が今季国内FA権を獲得する。1月に編成・育成部門を統括する「編成委員会」が発足。ソフトバンクのFA交渉は、同委員会の副委員長にも就く王会長が切り札になる。

 ソフトバンクFA交渉の“切り札”は王会長だ。この日までに、小林取締役がFA交渉について「私と王会長がすることになります。王会長は編成のトップ。直々に出てもらうことも当然あります」と話した。球団は今年1月に組織改編。王会長を副委員長とした「編成委員会」(委員長は笠井和彦オーナー代行)を立ち上げ、チーム強化体制を築いた。今後のFA交渉も大きなテーマとなるのは間違いない。王会長のもとで、編成・育成部門の部長を兼務する小林取締役が、王会長の直接出馬する可能性を明らかにした。

 チームは主力2選手が今シーズン中に国内FA権を取得する。開幕ベンチ入りから計算すれば川崎が5月27日に、和田は8月11日にFA権利取得の8シーズンに到達。チームの将来を担う選手だけに、編成権を束ねる王会長が直接残留交渉にあたってもおかしくない。小林取締役は「今は新しい体制となって、いろいろなことを見直している段階。連絡は密にとろう、情報をみんなで共有しようという形でやっている。もちろん、私が(選手と)話をすることが始めだと思いますが」とも話しており、既に球団内で今後の対応を協議している模様だ。

 中長期的な視点からチーム強化に乗り出す動きも本格化してきた。10日から米アリゾナ州、フロリダ州にメジャー春季キャンプ視察として担当者2人を2週間ほど派遣。今後の外国人選手獲得に向けてパイプ作りに取りかかる。また、自軍の選手が海外FA獲得前にメジャー移籍を要求するポスティングの活用を打診してきた際の対応についても検討に入るという。新体制で1月からスタートしたソフトバンクの動きは、グラウンド外でも活発化していきそうだ。

 来シーズンにはエース杉内が国内FA権を取得するペース。新体制のもとで常勝球団づくりに着手したソフトバンクの動きに注目が集まる。

 ◆ホークスFA残留交渉

 09年は多村が海外FA権を獲得。角田球団代表が交渉にあたり、FA権を行使せず残留の形に落ち着いた。08年まで王会長は監督を務めており、実質的なFA残留交渉も球団フロントに託されていた。05年オフに城島(現阪神)がFA権を行使し、大リーグ・マリナーズに移籍した際も角田球団代表が交渉を担当。城島はFA権獲得当初から権利行使を明言していたが、王監督(当時)との直接会談を区切りとして大リーグ挑戦を表明した。

 今年1月に球団組織を改編。チーム強化に特化するため、COO(最高執行責任者)制度とチーム統括を解消、経営企画室と編成・育成部、編成委員会を新設した。編成委員会は取締役、編成・育成部のメンバーを中心に構成し、チーム強化について審議、承認を迅速に行う決定機関。

 [2010年3月9日12時8分

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