左太もも裏の張りを訴えて離脱した広島東出輝裕内野手(29)が「スピード復帰」を果たす。オープン戦最終戦となる21日の阪神戦(マツダ)に出場予定であることが19日、分かった。17日巨人戦(東京ドーム)の試合前練習で同個所の違和感を訴えていた。18日ヤクルト戦(神宮)を欠場して、単身広島に戻っていたが軽症だった。この日はマツダスタジアムで治療に専念。大事に至らず、開幕に向けて総仕上げを行う。

 予想外のアクシデントを吹き飛ばす笑顔だった。開幕8日前の18日ヤクルト戦が行われる神宮に、東出の姿がない…。故障離脱かと緊張が走ったが、背番号2は一夜明けて本拠地でケアに専念。明るい表情で「酸素カプセルにも入りましたよ。これくらい、シーズン中に、こういう痛みは何度もある。(開幕に向けて)ちょっと不安なくらいが、ちょうどいい」と話した。

 17日巨人戦で左太もも裏の違和感を訴えて、2打席で交代していた。翌18日ヤクルト戦もプレーする気構えだったが、野村監督からストップがかかった。「治療に専念してくれ」。チーム本隊から離脱し、急きょ単身で広島に戻った。この日は打撃練習を行わず、入念なストレッチなどで患部の回復をうながした。

 指揮官が18日に「開幕どうこうということはない」と話したように、大事に至らず、軽症だった。20日の阪神戦(福岡ヤフードーム)は欠場するが、大野練習場で打撃練習などを再開予定。順調ならオープン戦最終戦となる21日の同カード(マツダ)に出場する。東出自身が「ずっと試合に出ていましたから」と話すように調整ペースに狂いはなく、ラスト1戦で総仕上げする。

 プロ12年目の始動は順調そのものだった。1月の沖縄自主トレに始まり、キャンプをへて、オープン戦に入る。「良すぎて怖いくらい」と苦笑いしたこともあった。開幕まで1週間に迫り、今回の離脱も、最後の“充電期間”ととらえる。

 「すごく順調に来ていますから。明日(20日)も試合に出られますよ。休んでいるのが申し訳ない」と話す。オープン戦出場11試合はすべて1番でプレー。35打10安打、打率2割8分6厘と上々の調整を重ねる。不動の切り込み隊長は小休止を強いられて体がうずくのを我慢している状態だ。

 26日の中日戦から、いよいよセ・リーグが開幕する。野村カープの初陣を控え、チームリーダーも守備や走塁面などで、これまでの戦いに手応えをつかむ。「仕掛ける意識はついた。あとは公式戦で出せるかです」。リードオフマンの再合流でひと安心だ。スキのない最終調整に臨み、戦闘態勢を整える。【酒井俊作】

 [2010年3月20日10時50分

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