20日のソフトバンク戦(札幌ドーム)に「7番左翼」でスタメン出場する日本ハム中田翔内野手(20)が、「スーパーハイテンション」で最終調整を終えた。19日、約1時間半の全体練習後に笑顔で会見に臨み、プロ3年目で初めて迎える1軍の開幕戦を心待ちにした。2軍落ちの重圧から吹っ切れた怪物が、最高の舞台で大仕事をやってのける。

 遠足を控えた子どものように、手足は落ち着かず、口元は緩んだ。初めての1軍開幕戦をスタメン出場で迎える中田は「気分上々↑↑」だった。「すごくテンションが上がってきています。早くやりたい。今日試合をしたかったくらい。緊張は一切ないし、楽しむだけです」。心の底からわき上がるウキウキを隠せなかった。

 夢にまで見た舞台だ。開幕戦は、昨年までの2年間、テレビで観戦するしかなかった。18日の練習前に、梨田監督から「スタメンで使おうと思っている」と声をかけられ、ボルテージが一気に急上昇した。マウンドに上がるのは入団以来目をかけてくれた、先輩ダルビッシュ。「一生懸命やって、ダルさんを助けられるプレーがしたい。それができたら一生に1度くらいのうれしさ」と鼻息を荒くした。

 対峙(たいじ)するソフトバンク杉内は昨季、奪三振王に輝いたリーグを代表する左腕。だが中田は昨年9月26日の対戦で左前打を放ち、対戦成績4打数1安打とまったく歯が立たない相手ではない。「自分の実力からすれば1本打てただけでも上出来だと思う。打撃の調子はいいし、三振を恐れず、何も考えずにボールを“しばき”にいくだけです」と気持ちを込めた。

 “アゲアゲ”の中田に対し、スタメン起用を決断した梨田監督も期待する。「目つきの鋭さが出てきた。集中力が高くなったように見える。思ったより守りの評価も上がってきた」と、絶賛した。

 大阪桐蔭時代は超満員の甲子園でバックスクリーン弾を放ち、2軍では本塁打記録を樹立した中田だが「こんなに楽しみなのは、ファームでも、高校時代にもない。全然違いますよね。1度しかないチャンスだと思って、楽しみながらやりたい」。両エースの投手戦が予想される展開を打破するのは、初舞台に燃えるスーパーハイテンション男かもしれない。【本間翼】

 [2010年3月20日10時8分

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