<日本ハム4-8オリックス>◇30日◇東京ドーム

 日本ハム中田翔外野手(20)が、レギュラー定着へ前進する活躍を見せた。30日のオリックス戦で右腕相手に初めて7番左翼で先発。初回に中前打、7回に左前打と4打数2安打でプロ入り初のマルチ安打を放った。不安視されていた外野守備でも8回に初補殺を記録。チームは敗れ、3年ぶりの借金4となったが、今季初の東京ドーム開催で見せ場はしっかりつくった。

 引き分けを挟んで3連敗。3年ぶりの借金4。目を覆いたくなるような数字が並ぶ中にも、希望の光はあった。日本ハム中田がプロ入り初の複数安打を記録。「状態は悪くないので。1本2本にこだわらず、チャンスにつなげるようなバッティングがしていきたいです」。チームも敗れ、表情は硬かったが、確かな手応えをつかんだ。

 伸びつつあった髪に再びバリカンを入れ、気合の丸刈りで球場に姿を見せた。そんな中田を梨田監督は今季初めて、右投手相手でもスタメンで起用した。「左と限定すると視野が狭くなるからね、ベンチの。少しずつ経験を積んでほしい」。開幕7試合目での、地味だが、大きな変化だった。

 中田は首脳陣の期待を感じ、燃えた。「(左打者の)紺田さんが調子がいいのに、使ってもらってよかった」。2回に20日の開幕戦(対ソフトバンク)以来となる中前打を放つと、7回1死一塁の第3打席には、カウント1-1から123キロスライダーを左前に運んだ。

 さらにスタンドを沸かせたのは8回の守備。2死一、二塁で坂口の左前打を処理すると、本塁へダイレクト送球で二塁走者・日高を刺し、初の補殺もマークした。「まだまだこれからですけど、今日は一安心です」。課題が多いことは自覚しているが、1つステップを上がった。

 若い芽は着実に育っている。リーグを制した昨年も開幕3連敗スタート。中田も「次は勝利に貢献したい」と気持ちを込めた。長い戦いは、まだ始まったばかりだ。【本間翼】

 [2010年3月31日10時51分

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