<日本ハム2-3オリックス>◇31日◇東京ドーム

 日本ハムが魔の9回のわなにはまった。オリックス戦で、2点リードの9回表、不調の武田久に代わる新守護神に抜てきされたブライアン・ウルフ投手(29)が、T-岡田に逆転3ランを浴びた。その裏に1点差に詰め寄ったものの及ばず、引き分けを挟んで4連敗を喫した。9回に同点、逆転を許したのは今季早くも3試合目。またしても終盤に逆転を許し、単独最下位となった。

 春の悪夢の続きを、また見た。1点リードの最終9回。守護神デビューしたウルフが沈んだ。カブレラ、ラロッカに連打で無死一、二塁。売り出し中のT-岡田に、外角へ甘く入った150キロツーシームをすくわれた。左翼最前席へ飛び込む逆転3ラン。190センチ、104キロの巨漢右腕は、軽々と勢い十分の青波打線に、さらわれた。連敗ストップのドラマの筋書きは、簡単に書き換えられた。

 失意の3月の最終戦で4連敗と、暗いトンネルは伸びた。失意の梨田監督の声も曇った。「あまりズルズルといくとね。形はできたんだけれど、最後の仕上げというところができていない」。無失点のカーライルを6回で降板させ、逃げ切りを図った。建山、宮西を適所で投入し、しのいで迎えた9回。梨田監督も「あっという間だったね」と一瞬で両者の立場が逆転した。

 カンフル剤の効果は、まずは出なかった。3試合連続で救援に失敗した抑えの武田久を中継ぎへ配置転換。2連戦の今カードからウルフへ大役を託し、臨んでいた。「精神的にも、肉体的にも、7、8、9回のどこも大切なところなので変わりはなかった。でもうまく打たれた」。平常心で低迷打破へ挑んだ新助っ人でも、勝利の方程式を解く明快な答えは、いきなりは導き出せなかった。

 投打が空回りしたまま、開幕3カードが終了した。オリックス山本の立ち上がりを突いた2回に二岡の適時打で1点を先制したが、追加点を奪えないのが、最後に響いた。2回の先制直後、なお1死二、三塁から中田が三振。続く3回には単打、犠打、四球で、つくった1死一、二塁で高橋が三直。不運も重なり、相手へとリズムを渡す展開になった。チグハグさは一掃できなかった。

 楽天に抜かれ、単独最下位で、07年5月以来の借金5。昨季リーグ覇者の開幕ダッシュ失敗で、パの情勢に、まずは順位の逆転現象を呼んでしまった。明日2日から2カード連続で、西武、楽天と6連戦。梨田監督は気丈に、地の利を生かしての再スタートを誓った。「北海道でまた立て直して、なんとかやっていくしかない」。今日1日に、北の大地へと移動する。エープリルフールのような現状打破のため、シビアな現実と向き合えば、出口は見えてくる。【高山通史】

 [2010年4月1日12時6分

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