<日本ハム1-0オリックス>◇27日◇札幌ドーム

 ルーキーが、本拠地デビュー戦で孝行息子になった。日本ハム先発のドラフト5位増井浩俊投手(25)が、オリックス6回戦で7回を被安打1の無失点と好投し、3度目の登板でプロ初勝利を挙げた。今季11カード目で初となるカード初戦の勝利と、30試合目で初の完封勝利を飾る原動力となった。借金13の最下位と苦しい状況は変わらないが、新たな力が9連戦の初戦で、最高の結果をもたらした。

 ベンチに全身を預け、その時を待った。増井はアウトを1つ、中継ぎ陣が重ねるたびに、大きく両手をたたいた。9回2死一塁。祈るような表情で見つめ、ようやく晴れの日に到達した。チームメートとのハイタッチは、笑顔で繰り返した。本拠地デビュー戦でゲットしたお立ち台では、わき上がる本拠地を見渡した。「本当に感動しています」。冷静沈着な25歳の遅咲きルーキーの声も、思わずはずんだ。

 値千金の仕事だった。プロ入り3度目の先発マウンド。「連敗していたので何とか、僕が勝つことで断ち切れたらいいなと思っていた」。チーム状況を考え、無心で投げた。140キロ台後半の速球主体に、左打者にはチェンジアップなど緩急も交えた112球。梨田監督も「いいピッチング過ぎるから代え時が難しかった」と迷いが出るほど、初完封初勝利の予感も漂う快投ショー。7回1安打無失点で抑え込んだ先に、プロとしての第1歩を刻み、未来を切り開いた。

 幼少時に思い描いた夢を、プロ野球選手としてかなえた。好きな色は赤。きっかけは幼いころに見た、戦隊ヒーロー物のテレビ番組「秘密戦隊ゴレンジャー」だった。「戦隊モノとかでも赤い色がいつも中心にいて、主役っぽいじゃないですか」。小学4年で野球を始め、6年から投手一筋。一番目立つポジションを任され、それがプロまでたどり着くモチベーションの1つになった。

 ダルビッシュ、武田勝の先発2本柱で喫した連敗を、ドラフト5位のルーキーが「3」で止めた。開幕から続いていたカード初戦の連敗も「10」で断ち切った。「1つ勝ったので、このままローテーションを守って、勝ちを重ねていきたいです」と声を強くした。この日は家族から「自分らしくいけよ」とメールをもらい、手にしたウイニングボールを恩返しとなるプレゼントにすることができた。“ひろとし”の名前の由来は「ヒーロー」。名前通りの紛れもないニューヒーローが、ドラマチックに誕生した。【石井克】

 [2010年4月28日10時13分

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