6年目を迎えるプロ野球の交流戦が、12日にセ・リーグの本拠地で行われるナイター5試合で幕を開ける。各チーム24試合の計144試合が行われ、優勝チームには5000万円、最優秀選手には200万円の賞金が贈られる。パ・リーグ首位の西武は開幕カードの巨人戦(東京ドーム)で、Gキラーの岸孝之投手(25)が先陣を切る。2年前の日本シリーズMVP男が、宝刀カーブを武器に今年もセ・リーグ首位の強力打線をねじ伏せる。

 セ首位の巨人に、今年も天敵が立ちはだかる。岸は交流戦開幕の12日先発に備え、49球を投げ込んだ。細身の体に似つかわしくない豪快なミット音が、西武室内練習場に響き渡った。「巨人?

 そんなに気にしないです。ランナーをためた時の1発に注意したい」。登板2日前の“儀式”を終えた後、いつもと変わらぬ穏やかな笑顔で話した。

 交流戦開幕で、リーグ首位同士が激突。岸の巨人戦といえば、思い出されるのは2年前の日本シリーズだ。4戦目に完封すると、2勝3敗と後がない6戦目にリリーフ登板。14回2/3を無失点に抑え、逆転日本一の立役者となってMVPを獲得した。特に、鋭く抜けて落ちるカーブは「分かっていても打てない」と言わしめたほどで、プロアマ界で“岸カーブ”と呼ばれるまでになった。

 過去の交流戦と合わせた対戦成績も4戦3勝、防御率0・91と抜群の相性を誇る。相当な対策を練ってくることが予想されるが「基本的には、パ・リーグと対戦してる時と変わらないです」。怖い巨人打線も、岸にとっては他球団と同じ位置付けでしかない。「個人的には、大学の日本代表でチームメートだった長野と勝負してみたい」と同い年の注目ルーキーとの対戦を心待ちにした。

 過去5年の交流戦で、西武は勝ち越しが1度しかない。V奪回へ、避けて通れない鬼門の初戦を任され「いつも成績が良くないので」とこの時ばかりは口元を引き締めた。勢いと流れを呼び込むため、現在5連勝中の右腕が、巨人打線をねじ伏せた日本シリーズの再現を狙う。【柴田猛夫】

 [2010年5月11日9時22分

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