阪神城島健司捕手(33)が己にカツを入れ、12日に開幕するセ・パ交流戦に挑む。甲子園での日本ハム戦を前に阪神は11日、本拠地で最終調整。城島は「オレがもっと頑張ってれば、もっといい状態なんだろうけどね」と、ここまでリーグ戦を貯金7の2位で終えたことに不満顔で気合を入れ直した。現在レギュラー捕手では12球団最低の盗塁阻止率をアップをはじめ、打撃向上を誓った。パ・リーグ相手にジョーが燃える。

 城島の奮闘もあり、チームは貯金7の2位で交流戦を迎えることができた。09年の借金5を思えば雲泥の差だ。だが本人は不満顔だった。「オレがもっと頑張ってれば、もっといい状態なんだろうけどね」。自分がもっといい成績なら、2ケタ貯金も出来たはず。常に上を求める男に満足はなかった。12日の日本ハム戦から始まる交流戦。己にカツを入れるべく、攻守に2つのリベンジを果たしての初Vけん引を誓った。

 (1)強肩発動

 「盗塁阻止率、1番低いじゃないですか。3つか。少ねえ。寂し~ッ」。泣きマネで笑った。ここまで盗塁刺は3度だけ。阻止率は12球団レギュラー捕手でワーストの1割5分しかない。マリナーズ時代の07年、メジャートップの4割6分5厘を記録した姿とは、別人の数字だ。

 衰えもあるのか?

 吉田バッテリーコーチは首を振った。「あれだけの肩。けん制ばかりするとか、真っすぐのサインばかり出せば、すぐ阻止率は上がる。でも城島は違う。投手が打者に集中する環境をつくってるからです。走者を置いてワンバンも多いでしょ」。

 許盗塁の大半はモーションを盗まれたもの。低阻止率は自己犠牲の証明とも言える。他球団の強肩警戒ぶりは、阪神戦の盗塁企画数がリーグ最少の20回という数字でも分かる(最多は対横浜の40回)。だが城島に一切の言い訳はない。「二塁に行かれるとヒット1本で点が入って防御率が上がる。何とか阻止してあげたい。刺せるように練習しま~す」。甲子園練習では右肩をグルグル回して気合十分。まずは日本ハムの走り屋・田中、糸井を封じる。

 (2)打率アップ

 満塁弾2発やサヨナラ弾など、打撃でも勝負強さを発揮してきた。だがリーグ25位の打率2割5分8厘が気に入らない。でも交流戦では絶好のモチベーションがある。昨年のWBCで投球を受け、世界一を勝ち取ったダルビッシュ、岩隈、田中、涌井ら日本代表投手との対決だ。「今度はマウンドと打席でどう感じるのか。でも真剣勝負なんで、楽しくやろうとは思ってない」。超一流を撃って上昇の足がかりとするつもりだ。

 対パ・リーグは5年ぶり。どの球団も顔ぶれが変わり「日本ハムは稲葉さんは知ってるけど、あとは何人かぐらい」という。だが未知との対決も好奇心をかき立てる。「情報が少ない選手と対戦するのは楽しみ。1カ月半前と同じで新しく開幕する感覚」。いい意味でリスタートが切れる2度目の開幕。まずは昨季のパ・リーグ王者を倒し、虎の交流戦初優勝に弾みをつける。【松井清員】

 [2010年5月12日11時23分

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