<広島4-6楽天>◇13日◇呉

 コイの主砲が意地の打撃を見せつけた。広島はブラウン楽天と呉二河球場で交流戦初戦を戦い、2回までの6失点が響いて敗れ去った。それでも、4番の栗原健太内野手(28)が2安打をマークし、8試合連続マルチ安打を達成。89年ロードンが打ち立てた球団記録に並んだ。チームは今季最多の借金8に増えたが、マツダスタジアムで行われる14日の楽天戦で仕切り直し。昨季までカープを率いた敵将ブラウン監督に、新生広島の実力を見せつける。

 敗色濃厚の最終回に、不動の4番が執念を見せた。3点を追う展開。目の前で天谷が出塁した。その直後だ。栗原は集中力を研ぎ澄ませた。カウント2-2からの6球目。楽天川岸の外角スライダーに詰まりながらも、渋く右前に運んだ。凡退なら、7試合継続していた連続試合マルチ安打で途切れていたが、土壇場で記録を継続した。直後に1点をかえしたものの、チームは惜敗。バスに乗り込む主砲の口調も重かった。

 「甘い球を1球でとらえられました。(記録については)負けてしまったので…」。4点差を追う1回にも反撃の中前適時打をマークし、8日阪神戦以降、9打席連続で出塁した。この日も好調を維持し、結果を出したが、勝利を思う気持ちが強いからこそ、個人記録に関心を示さない。これで、2日中日戦(マツダ)から8試合連続マルチ安打に到達。14日の楽天戦で2安打以上放てば、9試合連続マルチ安打となり、球団新記録を達成する。阪神後藤次男(52年)ら3選手が持つプロ野球記録の10試合連続に王手をかける。

 かつての恩師に復活した姿を披露した。この日の試合前。栗原はグラウンドに現れたブラウン監督のもとに駆け寄り、あいさつを交わした。昨季までは広島でタクトを振るった敵将だ。長時間、打撃談議を行ったことは何度もある。打席で試行錯誤し、精神面などでヒントを与えてくれた同監督に感謝の2安打だった。

 公式戦で初めてブラウン監督と対決したが、完敗した。先発青木高が2回までに悪夢の6失点。打線の攻撃意欲をそぐ乱調が響いた。野村監督も「今日も、打線には僕自身、手応えを感じている。いい打線でもヨーイドンで4点を取られたらね…。そのあとの失点も相手投手を楽にさせた」と嘆く。打線も2回以降、公式戦初対戦の永井を攻略できず、交流戦初戦を落とした。今季最多の借金8を背負って、14日に本拠地で再戦。主砲のバットで反攻に転じる。【酒井俊作】

 [2010年5月14日11時11分

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