<西武0-4巨人>◇29日◇西武ドーム

 交流戦頂上決戦は、巨人東野峻投手(23)が西武打線を6回無安打無得点に抑え、リーグトップタイ8勝目を挙げた。ノーヒットを続けていたが、左太ももに張りを訴え6回限りで降板。大記録はお預けとなっても、破竹の8連勝で早くも昨季の白星数に並んだ。

 素直には喜べなかったのかも知れない。東野は、ヒーローインタビューで笑顔を見せなかった。「少し足に張りがあったので大事を取りました。最後まで行きたかったけど、大きなケガをするよりいい。自分で交代すると言いました」と淡々と事情を明かした。

 立ち上がりから抜群だった。最速は142キロと抑え気味だったが、右の強打者にも臆(おく)せず内角を突いた。その分、外へのスライダーが効いた。1回は中島、2回は中村と、狙い通り外角スライダーで空振り三振。要所でカーブを交え、揺さぶった。大記録達成の予感は十分あった。

 それでも、本音は心にしまった。「ノーヒットは意識してなかった。悔しいとかはないですよ。無理して悪化するとチームに迷惑がかかる」と、最後まで未練は一切、口にしなかった。降板後、ベンチ裏でアイシング治療を施し、回復に努めた。「次は問題ないと思う。明日から、また治療して次に向けて頑張ります」と前だけを向いた。

 原監督は「いつも先発として堂々と戦ってくれている。マウンドさばきに“東野流”というものが出てきていますね」と目尻を下げた。連勝で交流戦の貯金も1とした。巨人戦4連勝中の岸との対戦を前に、東野の99球がチームに最高の勢いを与えた。【古川真弥】

 [2010年5月30日8時16分

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