<オリックス3-1ヤクルト>◇30日◇スカイマーク

 オリックスが「ブルーウェーブ魂」で完勝を収めた。95年の阪神淡路大震災から15周年を機に開催した「がんばろう神戸デー」と題されたヤクルト戦(スカイマーク)で、リーグ優勝した同年の復刻ユニホームをまとい、大観衆をわかせた。ブルーウェーブを知る日高剛捕手(32)、後藤光尊内野手(31)が貴重な2点を挙げ、V戦士の田口壮外野手(40)も1安打。当時を知る岡田彰布監督(52)も大満足の1日になった。

 いつもより少し「黄色」が多いスタンドが大いに沸いた。95年に流行した曲が打席ごとに球場に流れ、ナインは黄色の縁取りが鮮やかなボタンなし復刻ユニホームに「BW」の帽子をかぶった。95年、震災に見舞われた神戸を勇気づけようと奮起し、見事にリーグ優勝に導いた往年の名選手たちの姿をダブらせたファンも多いはずだ。

 試合の主役もBW戦士だった。まずは日高が2回に先制の2号ソロ。95年ドラフトで入団した現選手会長は「最高の球場で最高のファンの皆さんにいい結果を見せられた」。8回には、これもオリックス生え抜きの後藤が中越え三塁打で貴重な追加点。「新鮮味があっていつもと違った」と気持ちが乗っていた。唯一、当時を知る田口もしっかり1安打を放ち、最も大きな声援を受けた。

 先発山本省吾投手(32)は近鉄出身だが7回途中まで無失点。「日本一になったこのユニホームを着られて光栄です。今日は星野(伸之)さんのカーブ、長谷川(滋利)さんのスライダー、野田(浩司)さんのフォークが宿りました」と話した通りに、どの変化球も効果的に使い、4勝目を挙げた。

 95年にオリックスで現役を退いた岡田監督は「こういう(守りの)ゲームをやっとかんとな。その積み重ねよ」と納得の表情だ。試合後、40分以上もファンにサインした田口は言う。「今日は楽しめたけど、本当の意味ですべての人が楽しめるのか不安はある。がんばろう神戸は今までも、これからもずっと心にある」。失われたものの大きさを実感しながら、あらためて「95年」の意味を噛みしめていた。

 [2010年5月31日11時14分

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