<西武2-1阪神>◇9日◇西武ドーム

 阪神ケーシー・フォッサム投手(32)が、涌井と互角に投げ合った。6回5安打1失点で、勝ち越しを許さずにマウンドを譲った。試合前までには、一抹の不安があった。山口投手コーチが「ブルペンでは今日が一番悪かった」と明かした。だが、1回を7球で仕留めるとリズムを取り戻し、予想を大きく裏切る好投を見せた。

 5月27日、甲子園での西武戦。5回5安打3失点で黒星を喫していた。相手マウンドにいたのがほかでもない涌井。リベンジ戦で相手エースに負けない出来だった。「前回(西武打線は)スイングが大きい印象を受けた。だから変化球中心でいこう思った」。

 反省を生かし、この日は右打者へのひざ下へ決まるスライダーをコンビネーションの軸として多投した。今季最多116球中ストレートはわずか19球。4回中島への3球目から中村、ブラウン、高山、続く5回のGG佐藤、細川の1球目までスライダーを実に24球も連投。得意球をこれでもかと投げ続けた。「スライダーもカーブもこれまでで一番うまくコントロールできた」と納得の投球だった。

 唯一の失点が悔やまれる。5回、2死から9番阿部に四球を与えた。続く片岡に7球続けたスライダーをとらえられると、打球は懸命にキャッチを試みた桜井の脇を抜けていった。この失点で勝ち投手の権利も失った。5月15日楽天戦(甲子園)以来、勝ち星から遠ざかる。忘れかけた快感を取り戻すため、助っ人左腕は黙々と投げ続ける。【鎌田真一郎】

 [2010年6月10日11時11分

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