<巨人3-1横浜>◇25日◇東京ドーム

 セ・リーグ首位の巨人が、2本の本塁打で接戦を制した。初回、坂本勇人内野手(21)の先頭打者本塁打で先制。1-1の8回、アレックス・ラミレス外野手(35)が2試合連続となる23号2ランを放ち、勝ち越した。FK2発でW杯決勝トーナメント進出を決めたサッカー日本代表をほうふつさせるような3-1の勝利。未明のテレビ観戦で岡田ジャパンの戦いに感銘を受けたという原辰徳監督(51)は通算勝利数を、恩師の故藤田元司氏に並ぶ516勝とした。

 サッカー日本代表の勝利に日本中が沸いた半日後、巨人の本拠地東京ドームが沸いた。原監督は会見で、いたずらっぽい笑みを浮かべた。「くしくも3-1ということで、サッカーファンも巨人ファンも気持ち良く寝られるということです」。サッカーW杯決勝トーナメント進出を決めた日本代表に引っかけた。

 “ロスタイム”間近のピンチに、自らマウンドに向かった。1-1の8回1死一、二塁。ゴンザレスに代えて中継ぎエース久保を投入。同時に、一塁で出場していた阿部を捕手に据え、4番村田と5番スレッジを連続空振り三振に仕留めた。「久保には一番、しんどい部分をお願いしているが、堂々と戦う姿は頼もしい」。終盤の勝負どころで、バッテリー交代の妙手が、その裏のラミレスの勝ち越し2ランにつながった。

 ただ、反省もあった。先制点は1トップ本田ならぬ、トップバッター坂本の今季初の先頭打者本塁打。FK2発のように本塁打2発で3得点と華々しかったが、初対戦の大家に適時打は出ず2併殺5三振。「緩急をつけてきた。空振りしないよう、もう少し粘ること」。そう求めるのも、信念があるからだ。

 未明キックオフの日本-デンマーク戦をテレビ観戦した。「自立した個の力があわさると、とてつもないチーム力になる。それぞれが『チームで戦うから自分は失敗をしてもいい』と思えば弱いが、代表にはそれがないね」と感銘を受けた。競技は違えど、同じチームスポーツ。まして、自らもWBC代表監督として世界で戦った。通じるものを感じ、自軍の選手にも自覚とレベルアップを求めた。

 課題を口にするのは、上を目指すから。恩師藤田氏に並ぶ監督通算516勝目に「身の引き締まる思いです」。強豪にも正面からぶつかる日本代表のように、原巨人も正々堂々と戦っていく。【古川真弥】

 [2010年6月26日9時22分

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