<西武4-2オリックス>◇27日◇西武ドーム

 リードして最終回に入れば、西武は負け知らずだ。守護神ブライアン・シコースキー投手(35)が、オリックス戦で両リーグトップの23セーブ目を挙げた。今季、勝ってバトンを受けた28試合で1度も失敗がなく、すべて逃げ切りに成功している。2軍戦では、アレックス・グラマン投手(32)が左肩手術から1年1カ月ぶりに復帰登板し、新旧守護神そろい踏みも見えてきた。課題だったブルペンが整備され、2年ぶりV奪回へ首位を快走している。

 9回までに勝っていれば、今年の西武は安心して見ていられる。2点リードで迎えた最終回。シコースキーがブルペンからダッシュで飛び出し、塁線をジャンプし、マウンドで右腕をグルグル回す。おなじみのパフォーマンスで登場すると、3人で片付けて試合を締めた。梅雨で蒸し暑い西武ドームに歓喜をもたらし「昨日から家族も日本に来たし、最高だよ」。最愛の家族にも届けた両リーグ最多23セーブ目に、大きく胸を張った。

 今季31試合のうち、リードした場面で登板した28試合すべて逃げ切りに成功している。防御率は1・71。抑えという難しいポジションで1度も失敗がない好調ぶりに「役割を決めてもらっているから調整しやすい。落ち着いてやれているし(捕手)細川との相性もバッチリ。運もあるよ」と冷静に分析する。2敗はいずれも同点の場面。勝ち試合での集中力はすさまじい。

 昨季サヨナラ負け14度の苦悩を味わった渡辺監督が、シコースキーへの信頼をこう語る。「外国人だし、セーブがつく、つかないの場面になると、ベンチで計算していた時もあった。本人とその話をしたら『自分はどんな場面でもいい。セーブとか気にせず、投げさせてほしい』と言ってきたんだよ」。出来高など金銭にこだわりが強い外国人を多く見てきただけに、その姿勢に感銘を受けたという。指揮官との強固な信頼関係によって、引き出されている力もある。

 チームの最重要課題が解消され、藤田、長田のセットアッパー陣も好調。新「勝利の方程式」で首位を快走する。かつての守護神グラマンの復帰も見えてきた渡辺監督は「後ろの層がだいぶ厚くなるね」。うれしい悲鳴が出るのも、シコースキーの安定感があればこそ。西武のブルペンを変えた男は、優勝まで腕を回し続ける。【亀山泰宏】

 [2010年6月28日9時55分

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