<阪神11-5中日>◇29日◇甲子園

 球団史に残る「ハットトリック」だ。阪神クレイグ・ブラゼル内野手(30)は「今日は本当にグッドデイ。すべての要素がうまく使えたホームランだ」と胸を張った。阪神が誇る決定力が本塁打ラッシュを見せた。

 (1)阪神2年目の進化

 2回先頭で朝倉の外角シュートをきっちりと振り抜いた。右から左に吹く浜風に乗って左翼ポール際に飛び込んだ。生粋のプルヒッターが逆方向にも打てるように成長を証明。先制24号ソロに「厳しいコースだったけど、しっかり手が伸びてバットで強くたたけた。甲子園も味方してくれた」。

 (2)長距離砲の魅力

 3回1死の2打席目、夜空に大きな放物線を描いた。かつて「高校時代は120~130本ぐらいホームランを打った」と豪語するなど、規格外のパワーで、滞空時間の長いアーチをかけた2打席連続25号ソロだ。

 (3)集中力

 5回の3打席目に入る直前、本塁打キングを争う巨人ラミレスの3連発を聞いた。「これは3発目もいかなきゃしょうがない」と仲間にジョークを飛ばし、ネルソンの変化球を中堅右へ運ぶ26号2ラン。「甲子園の右翼は(浜風で左打者に)不公平というか。ただちょうど風が止まった。まさかそうなる(3連発)とは」と驚いた。

 甲子園での3打席連続弾は、阪神の外国人助っ人では初の快挙。あの最強助っ人バースもなしえていない。「グレートなこと。阪神の歴史の中に入っていけることは光栄。名誉なことだ」と、記念日を評した。B砲3連発を含む5発で圧勝。無邪気な笑顔に球団史に名前を刻んだ喜びがつまっていた。【益田一弘】

 [2010年6月30日8時43分

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