<パCSファイナルステージ:ソフトバンク0-7ロッテ>◇第6戦◇19日◇福岡ヤフードーム

 ソフトバンクがパ・リーグのCS史上最低打率で敗れ去った。6試合を戦って本塁打もなければ、2ケタ安打もなし。通算チーム打率は1割6分9厘。14日の初戦に完投負けを喫した成瀬に、この日は4安打完封負け。二塁すら踏めなかった。ベンチで川崎宗則内野手(29)が涙に暮れた。第2戦から5試合連続ノーヒット。初戦の2安打以降21打席無安打を続けた。通算打率は9分1厘。「悔しい。悔しい。とにかく、悔しい。もっと練習しないと。みんなに申し訳ない」。レギュラーシーズンでは球団最多190安打を放ち、チームをけん引し続けた選手会長は、タオルに顔を落とした。

 最後の打者になったのは、主将小久保だった。バットを折られた打球は、力のない遊飛になった。こちらも通算打率1割8分2厘に沈んだ。18日、「生きるか死ぬか」と最終戦を表現した。まさに、命を懸けて戦ってきた。昨年11月7日。四国山地の西部の石鎚山に登った。標高1982メートル。命綱なしで、絶壁「試しの鎖」を上がった。頂上に日本ハムの球団旗があると聞いたからだった。昨季リーグVチームの旗を抜き、ホークスのマスコット人形を置くために登った。「日本ハムが優勝したからなったからな。オレが登れば、ウチが優勝や」と言葉を残し、頂上を目指した。グラウンドでも全力を尽くした。帰り際には「ぶっちゃけ、短期決戦の難しさ。打線の個人個人が力を出せなかった」と振り返った。ロッテ投手陣を打ち込めなかったが、昨年とは違って試合後に涙はなかった。

 最大の屈辱は、来季へのエネルギーに変えるしかない。CSファイナルステージでは貧打の2文字を残し、10年の戦いに幕を閉じた。

 [2010年10月20日11時44分

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