<日本シリーズ:ロッテ10-4中日>◇第5戦◇4日◇千葉マリン

 勝って名古屋に帰ることはできなかった。中日中田賢一投手(28)がロッテ打線に打ち込まれ、5回9失点。試合をぶち壊し、マウンドで何度も首をかしげた。日本シリーズ先発投手のワースト記録をつくった。

 「大事な試合だとは分かっていたのですが…。プレッシャーはなかったが、カウントを悪くして、投げてはいけないところに投げてしまった。やっぱり初回ですね…」。

 初回に5連打で4点を献上すると、4回にはサブローに左越え2ランを被弾。5回にも清田の右前2点適時打などで3点を失った。ストライクゾーンにボールを集めすぎ、今季自己ワースト失点。前夜に延長勝ちしたムードを台無しにする背信のマウンドとなった。

 千葉マリンでは、ルーキーイヤーにも苦い思いを味わっていた。05年5月22日のロッテ戦で2回2/3を投げ、7失点で降板。プロ入り後、初めてファーム降格を告げられた。「あの時の悔しさは今でも覚えているんです」。5年ぶりの千葉でのマウンド。日本シリーズの大舞台で成長ぶりを見せるはずが、またも悪夢のKOとなった。

 昨年のポストシーズンでは、巨人とのCS第2ステージ第4戦に登板し、2回0/3、7失点で降板。自らの乱調でチームの1年も幕を閉じた。その夜は悔しさのあまり一睡もできず、ホテルの部屋で1人で朝を迎え、始発の新幹線で名古屋に帰った。「僕は酒が飲めないから、やけ酒も飲めない。あの時は自分で悔しさを消化することができなかった…」。

 そして今年。CSでは出番がなく、ようやく日本シリーズでめぐってきたポストシーズンでの出番。1年間、胸の内に秘めていた悔しさを、この日のマウンドでぶつけるはずだった。リーグ最終戦の10月2日以来、1カ月ぶりとなったマウンドは、理想とはあまりにもかけ離れた結果に終わった。【福岡吉央】

 [2010年11月5日10時37分

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