ソフトバンク杉内俊哉投手(30)が21日、契約交渉で「ダル級」評価を求めて譲らない考えを明かした。投手陣の柱として16勝し、7年ぶりのリーグ制覇に貢献。最近4年間で15勝以上が3度と、推定年俸3億円からの大幅アップへ材料は十分だ。チーム3冠王の多村仁志外野手(33)のFA残留交渉が金銭面の低評価もあり難航中なこともエースの危機感に火をつけた。

 杉内が鋭い“けん制球”を投じた。照準は大幅アップが期待される契約更改交渉だ。7年ぶりリーグ優勝。勝率6割9分6厘で最優秀投手のタイトルに輝き、16勝した。先発ローテの柱としてチームを引っ張った男として、活躍に見合う正当評価を譲らないと宣言した。

 「4年間で15勝以上が3回でしょ。何人いるのかという話。結果を見た上で、正当な評価をしてほしいだけ。相場とかもあると思う。リーグ優勝もしたし、3位とか6位でだいぶ抑え込まれて我慢してきた部分もある」

 個人的に好成績を残しながら優勝を逃し続けた昨季まで、言えなかったこともあった。それだけに今季は、納得するまで判は押さない。最近4年間で15勝以上3度をマークしたのは、両リーグで日本ハム・ダルビッシュと2人だけ。杉内は今季年俸3億円。同3億3000万からの大幅アップが予想される「ダル級」の評価を球団に求める。

 交渉スケジュールすら決まっていない段階でエースがくぎを刺したのは、個人的な感情だけが理由ではない。

 「新聞でしか知らないけど、タム(多村)さんが上がらなかったら、誰が上がるんだと思うよ」

 チーム3冠王の大活躍だった多村のFA残留交渉がエース左腕の気がかりのようだ。多村は基本年俸が推定1億2000万円からの微増提示されているとみられ、交渉が難航。球団はFA交渉選手に基本年俸を現状維持ベースで推移させ、新たに大幅なインセンティブ契約(出来高払い)を組み直す提示をしているが、同制度がFA選手以外にも導入される可能性がある。

 「システムの事もよく聞いてみたい。来年『やろう』という気持ちになるのが一番。日本一を取り返そうというチームなんだから」

 すでに下交渉に入っている可能性もあり、踏み込んだ発言は提示に不満な部分があったからかもしれない。来季の日本一をつかむためオフの銭闘でもエースが先頭に立つ。

 [2010年11月22日11時55分

 紙面から]ソーシャルブックマーク