西武からFAでソフトバンクに移籍した細川亨捕手(30)が“金トレ”で肉体強化する。今オフの自主トレで、競泳男子平泳ぎで五輪2大会連続2冠の北島康介のトレーナーを務める佐々木秀男氏(41)とタッグを組むことが5日、分かった。6日に入団会見を行う細川が「チョー気持ちいい」トレで鷹の正妻を目指す。

 新天地に向かう決意を示すように、細川が最強パートナーを指名した。FA移籍を決断し「全試合に出場して優勝したい」と目標を掲げた。まだ1度もクリアしたことがない全試合出場のために、肉体強化は不可欠。水泳・北島が絶大な信頼を置くトレーナーへの弟子入りが実現した。

 佐々木トレーナーは知人の紹介で面識があった。「細川選手は年齢的にも経験値が高い。ケガしない体づくりに、この2カ月はすごく重要。筋力をどうやって効率よく伝えるか」と細川のオファーを快諾した。ジャンルは関係ない。バドミントンの「イケシオ」こと池田信太郎、潮田玲子や、ハンドボールの宮崎大輔といったスポーツ各界の国内トップ選手のトレーナーも務めている。

 北島とは06年から本格的にコンビを組んだ。北島が調子を落としてどん底になった時があったが、寝食をともにして苦境を乗り越え、北京五輪で2大会連続金メダルの偉業を陰で支えた。鍼灸(しんきゅう)師の資格を持ち、体も万全にケア。トレーニングの助言にとどまらず「一緒に考えて、話し合う」と人間関係を重視するスタイル。個性を生かした指導が、各界で人気を呼んでいる。

 細川も体への意識は高い。恵まれた肉体のルーツは地元の青森にある。里帰りしているこの日は、2日連続で県内の野球教室に参加して、恩返しした。故郷・平内町の名産はホタテ。幼少から大量に食べてケガをしにくい体をつくったことから、西武では「ホタテマン」とも呼ばれた。プロ入り後も鍛錬を怠らず、183センチ95キロと格闘家ばりの肉体を見れば明らかだ。

 しかし、捕手というポジションはケガと隣り合わせ。どんなに鍛えても鍛えすぎることはない。その思いを強くしたのが、2年前のことだ。08年9月24日ロッテ戦(西武ドーム)で、西武投手陣が1イニング3死球を与えてベニーが激怒。大乱闘となり、細川は強烈な“首投げ”を許し、左肩を亜脱臼して戦線離脱した。「まさか一本負けするとは思わなかった」と当時の屈辱を胸に秘める。

 乱闘が起こっても、走者と激突しても、負けない体をつくるために、今オフは佐々木トレーナーと二人三脚で“金トレ”に励む。1月で31歳。「もう1度しっかり体をつくって、最低でも40歳まではバリバリやりたい」。さらなるパワーアップを遂げ、ソフトバンクの守りの要となる。

 [2010年12月6日11時23分

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