「クロカン魂」で開幕1軍!!

 広島の新入団選手発表が9日、広島市内のホテルで行われ、ドラフト指名された9選手が出席した。1位の早大・福井優也投手(22=済美)は中学時代までクロスカントリースキーで鍛えた下半身を生かし、マリナーズ・イチローのように超一流を目指すことを決意。即戦力右腕として、開幕1軍を狙う。

 金びょうぶの前で福井はマイクも持たず、声を張り上げた。「開幕1軍を目標に頑張りたいと思います!」。プロ入り第一声に決意がこもる。「目標にされる選手になりたい。球界を代表する投手になりたい」。力強い抱負を口にした。

 強い足腰を生かし、プロの世界で生き抜く。中国山地の山間に位置する故郷の岡山・西粟倉村。小学3年から中学3年まで、冬になればクロスカントリーに明け暮れ、全国大会に出場したほどの実力者だった。

 「夏は野球、冬は雪が降ると練習ができない。冬場はクロスカントリーで鍛えていました。親にも『下半身を鍛えるのに一番いい』と言われましたからね」。

 同村は今年のバンクーバーパラリンピック・クロスカントリーで、2個の金メダルを獲得した新田佳浩の出身地。「応援しに長野まで行きましたから」。98年長野パラリンピックに出場した新田のレースを生観戦。当時、10歳だった福井少年にとって、刺激たっぷりの世界の大舞台だった。

 理想像は「一流の中の一流」で、あこがれのプレーヤーはイチロー。「自分のなかで本当のプロだと思っています」と続ける。05年の高校生ドラフトで巨人の4巡目指名を拒否し、1年の浪人生活を過ごした。

 「高校の時みたいに投げられるかなと思ったりしましたが、くじけず、しっかり目標を持ってやりました。精神的にも人間的にも大きくなれて、投球も高校の自分に比べて成長できた」。

 早大で競った日本ハム斎藤や西武大石がライバル。福井の野球道は、果てなく未来へ続く。【酒井俊作】

 [2010年12月10日12時22分

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