マートン、残って!

 阪神が、来季で2年契約が切れるマット・マートン外野手(29)に対し、異例のシーズン中からの残留交渉に乗り出すことになった。球団幹部が20日「ウチのスタンスは決まっている」と契約延長を求める方針を示した。多少のけがや打撃不振があっても、214安打男の評価は揺るがない。

 阪神が、最強助っ人の引き留め交渉へ早々に動きだす。来季で2年契約最終年を迎えるマートンに、外国人選手としては異例となる、シーズン中からの残留交渉に乗り出すことになった。球団幹部が「契約の問題だけど」と前置きした上で明かした。

 「ウチのスタンスは決まっている。保有権が来年なくなることは明らかなことなので」

 マートンは09年オフに阪神と2年契約を結んでいる。今月12日には渉外担当が渡米し、推定1億円アップの年俸2億円プラス出来高で契約を更新。11年シーズンのプレーが確定したばかりだが、球団が見据えるのはその先にある12年だ。

 一般的に外国人選手には不振やケガのリスクがあり、シーズン中から残留交渉は行わない。ただマートンは来日1年目でイチローのプロ野球記録を抜く年間214安打をマーク。抜群の技術に加え、データ収集や真摯(しんし)な練習態度など、高評価を集めている。来日2年目に活躍する保証は100%ではないが、多少のリスクを差し引いてもマートンが「必要戦力」であると認めた形だ。

 流出阻止へ、予防線は張っている。日本球界では顕著な数字を残した外国人助っ人が、ライバル球団に高額年俸で移籍するケースがある。だが阪神とマートンの契約は、基本的に日本の他球団に移籍できない形だ。ライバル球団とのマネーゲームに伴う年俸の高騰を防ぐと同時に、12年シーズンにマートンが阪神を相手に打席に立つことはない。

 マートン残留に向けたライバルは、ずばり米大リーグになる。赤毛の助っ人は米カブスでレギュラーを張ったこともあるだけに、阪神での活躍ぶりを見て、メジャーからの復帰オファーが来ることも考えられる。

 マートンは、今シーズンを終えて「球団もファンも本当によくしてくださいました」と感謝の気持ちを口にしている。そんなまじめ助っ人と末永く一緒に戦えるように-。球団として、シーズン中から意思表示をして、誠意を示していく。

 [2010年12月21日11時38分

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