ジョー流「ボクノート」で2年目のジンクスを吹き飛ばす。阪神秋山拓巳投手(19)が「野球バイブル」づくりに取りかかる。長崎・佐世保での合同自主トレ中に、城島健司捕手(34)から野球に関して、気づいたことは何でもメモを取ることを勧められた。蓄積されたメモは、不調脱出のヒントになる。

 手土産を持って帰ってきた。秋山はすがすがしい表情で、鳴尾浜を走り回った。不安だった、初めてのオフ。城島からのアドバイスで、2年目への不安を拭い去った。「野球ノートのススメ」が、若き右腕の琴線に触れた。

 「城島さんも、22か23歳から毎日ノートをつけているみたいですけど『もっと早くからやっていればよかった』と後悔していると言っていました。自分の調子が崩れたときに、すぐに(調子が)上がる確率が高くなるみたいです」

 昨年もシーズン中にノートをつけることはあったが、毎日ではなかった。内容も、映像で見た他チームの打者の傾向が主だったという。ノートをつける上で、城島からのアドバイスは2つ。毎日書くことと、自分が感じたことを書くことだ。

 「ちょっとでも感じたことを書いていきます。試合を見ながら感じたこと、投げながら感じたこと。分析もそうだけど、練習の取り組み方とかも、ノートに書いていきたいです」

 今季の目標は、開幕1軍&2桁勝利。達成するには、シーズン通しての活躍が条件となる。昨年は8月から1軍に定着し、実働は2カ月だけだった。長いシーズンを戦ううえで重要なのは、好不調の波を少なくすること。底の状態になった場合でも、いかに短期間で脱出できるかがカギとなる。そのとき、めくり返すメモに不調脱出へのヒントが詰まっているというわけだ。多くの情報が記されているほど解決策も見つかりやすい。何年も蓄積されたノートなら、自身の野球バイブルにもなる。

 成功例は身近にある。城島も阪神1年目となった昨年、春季キャンプ期間中はブルペンにメモ帳を持ち込み、感じたことを随時書き込み投手の特徴を把握した。214安打の日本新記録を打ち立てたマートンも、相手投手の傾向を自分なりにまとめ情報を蓄積し快挙を達成した。

 「城島さんからも、持ち味は低めにしっかり投げられることだと、言ってもらいました。そういう球を1球でも増やしていきたい。とにかく、がんばって1軍に残れるようにしたい」

 ノートが真っ黒になったとき、秋山がまた1つ成長を遂げる。【鎌田真一郎】

 [2011年1月20日11時2分

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