鷹のユウちゃんが下克上だ!

 1軍未登板のソフトバンク下沖勇樹投手(19)が2月キャンプでA組(1軍)抜てきされる可能性が23日、浮上した。秋山監督が西戸崎で自主トレを初視察。今キャンプは昨年より2人多い20投手のA組帯同プランがあり、投手陣のサバイバルも必至。2年目右腕が激しいチーム内競争を象徴しそうだ。

 生きのいい2年目右腕、下沖の投球に首脳陣の視線がくぎ付けとなった。振り上げた左足を1度止めるようなしぐさを入れつつ、さらにグッと上げ、思い切りよく踏み込んでリリースする。西戸崎合宿所で捕手を立たせたまま、50球を投げた。ネット越しには高山投手コーチが見守っていた。プロとして初のオフを越えた下沖の成長を実感したに違いない。実力主義を打ち出す秋山ホークスを象徴する抜てき案を言葉にした。

 高山コーチ

 去年は肘が出てこないところがあったが、左足の踏み込みをよくして、リリースが前になるようにしてきた。彼は馬力がある。キャンプA組?

 決定していないが、可能性はありますよ。先発?

 リリースのポイントをつかめれば、やっていけるものがある。肩もできている。これからみっちり鍛えたい。近い将来を見据えても。

 下沖は09年度ドラフト3位入団。ルーキーイヤーの昨年、6月に1軍昇格(未登板)したほど首脳陣の期待は大きい。ホークスは昨季、育成選手だった山田を支配下登録。1軍機会を与え、4勝を挙げる活躍をみせた。下沖に下克上チャンスが回ってきても不思議ではない。今キャンプは昨春スタート時よりも、2人多い20投手のA組帯同が検討されているという。プロ未勝利ながらサバイバルを仕掛ける若手として、注目されるのは間違いない。

 下沖

 今は体重を(右足に)乗せて、そこからしっかり移動するようにしている。チャンスがある?

 ありますかね。どうでしょうか。でも、今日はちょっと(ピッチングの感覚が)ダメでした。

 下沖がA組となれば、伸び悩む右腕投手陣の刺激にもなる。大場、巽、岩崎らが先発候補として名を連ねる。さらに、右肩故障から復活を期す新垣もサバイバルに加わる。このオフ、右の即戦力補強は新助っ人アンソニー・レルー投手(28)のみ。底上げという点でも、下沖の成長が不可欠だ。

 昨春は西武の菊池雄星投手(19)に注目が集まった。現在は日本ハムのドラフト1位、斎藤佑樹投手(22=早大)がフィーバーを巻き起こしている。下沖勇樹。鷹のユウちゃんが、存在感を示す機会をうかがっている。

 [2011年1月24日11時7分

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