プロ野球の日本ハムが本拠地を置く札幌ドームが、初めて踏み切る命名権(ネーミングライツ)の売却先として家具、インテリアの製造販売大手の「ニトリ」が最有力であることが28日、明らかになった。球場運営を管轄する札幌市が11日から命名権の売却先を公募し、この日締め切られた。同市側では「応募はありますが、(1社か複数かは)明かせません」としたが、同社が名乗りを上げたもよう。周辺関係者の話を総合すると、権利取得が濃厚な情勢だという。

 キャッチフレーズの「お、ねだん以上。ニトリ」が有名な同社は創業地が札幌で、事業を全国展開する道内トップクラスの優良企業。今季からは日本ハムのスポンサーに名乗りを上げ、新ユニホームのズボンの左下に同社名が入ることになっている。また、同じ札幌ドームをホームとしているサッカーJ2札幌のスポンサーも務めるなど、スポーツ振興に理解が深い。昨年4月には札幌市の「さっぽろ芸術文化の館」の命名権を取得して「ニトリ文化ホール」とした“実績”もある。

 札幌市が売却条件としていたのは、国内スポーツ施設では最高規模の年間5億円以上、契約期間5年間以上。双方の協議の上で最終決定するが、新名称の使用は4月以降を予定している。札幌ドームは、04年に日本ハムが本拠地を移転してから日本一1度を含む3度のリーグ優勝を果たし、02年のサッカーW杯日韓大会の会場にもなった。スキー、自動車レース・ラリーの国際大会のほか、コンサートなど多目的に大規模イベントを行っており、年々、存在価値は高まっていた。

 さらに今季は、日本ハムにドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)が入団した。今後は、さらに「お、ねだん以上」の費用対効果を期待できそうだ。売却益は今後の球場施設の修繕にかかる費用としてあてられる。“佑ちゃん元年”の札幌ドームを「ニトリ」が、支える。

 [2011年1月29日10時41分

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