戦闘態勢が整った。星野仙一監督(64)率いる楽天は1月31日、仙台空港発の航空機で沖縄・久米島入り。「皆さま~。まもなく、楽天イーグルスが到着します」。島内アナウンスが流れると、飲食店の店員も「あらっ、監督に会いに行かなきゃ」と空港へと急いだ。午後2時35分、チャーター1001便が降り立つ。もとは「JTA3173便」だったが、日本トランスオーシャン航空沖縄本社が「星野監督が乗って下さるのなら」と説明するように、前例のない便変更だ。仙台空港で知った星野監督も目を細めたサプライズだった。

 久米島島民も「らしい」もてなしで迎えた。2月の沖縄はときにスコールのような雨が降る。特に2軍の球場は黒土が流され苦労することがあった。そこで一致団結したのは、日本一の漁獲高を誇る車エビ養殖業者だった。車エビを飼育するための砂は水はけ十分。快く無償提供した。町役場の土木担当が総出で土を掘り起こし、2軍球場の下に急いで敷いた。総工費5万円でも、思いやりがぎっしり詰まったプレゼントだ。

 球場周辺の警備は自警団を結成しクリア。監督の移動用には、かつて野村監督が愛用したゴルフカート「ムース号」をメンテナンスし移動もOKだ。丹念に視察を終えた星野監督は「申し分ない。思う存分、鍛えることができる環境。本当に素晴らしい施設。五輪の視察で以前来たことがあるが、当時よりずっと良くなって…」と感激した。感謝を胸に自軍を鍛える。【宮下敬至】

 [2011年2月1日9時37分

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