摂津130キロ台でも抑えちゃう!

 先発転向を目指すソフトバンク摂津正投手(28)が「エコ投法」で第1歩を踏み出した。宮崎キャンプ打ち上げの23日に韓国KIAとの練習試合(アイビースタジアム)に先発。全29球で140キロ超えはたった2球と、スタミナ面を意識した投球で2安打無失点に抑えた。

 先発への思いがこもった29球だった。キャンプ最終日の今季初実戦。“プロ初先発”した摂津が、先発テスト第1弾を省エネ投法でクリアした。初めて登ったまっさらなマウンド。2回表に最後の打者を外角低めいっぱいの138キロ直球で見逃し三振で仕留めると、爽快に汗を拭った。

 「(先発は)やっぱり気持ちいい。ただまだ課題がある。変化球の精度を上げないと。もっと早いカウントで打ち取れるようにしないといけない」。

 2イニングの登板ながら、先発仕様の投球を意識した。29球中、140キロを超えたのは、たったの2球だけ。まだ肌寒さの残る中での初実戦ということもあるが、スタミナが要求される先発としてこれまで以上に力よりも制球を意識した。

 シンカーとカーブの制球に苦しみ2回で29球を要したが、できるだけ早いカウントで打者を打ち取ろうとトライした。

 「まだ正直、先発と中継ぎの違いはわからない。2周り目の打者の反応とかを見てわかってくるところもあると思う。その中で感じたこと修正していきたい」。

 1度目の先発テストを無事に終えたことで、完全に開幕ローテ入りを狙う目になった。中継ぎ右腕甲藤の離脱などでまだ流動的な部分はあるが、本人の先発へ対する思いは熱い。

 「まだわからないけど、1歩1歩やって、しっかり競争して開幕ローテに入れるようにしたい」。

 入団から2年連続で70試合以上に登板し、抜群の安定感で勝利の方程式を支えてきた。最強セットアッパーの先発転向案は、フル回転で投げ続けた右腕の勤続疲労などを考慮した首脳陣の苦渋の決断だ。社会人時代は先発として活躍していたが、首脳陣の気持ちにこたえるためにも、先発としての自分を1日でも早く完成させるつもりだ。

 杉内、和田以外の8投手で4枠を競う開幕ローテ争いは激しく、道は決して平たんではない。初先発を見守った秋山監督も「今からだよ、まだまだ。微妙な難しさはあるんじゃないの」。ただ、先発としての第1歩を踏み出した摂津の表情にはローテ投手として1年間チームを支える責任感が宿っていた。【倉成孝史】

 [2011年2月24日11時45分

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