<オープン戦:広島8-0ロッテ>◇5日◇マツダスタジアム 出遅れ気味だった広島のドラフト1位・福井優也投手(23=早大)は、初実戦となるロッテ戦で1回無失点。最速145キロもマークし、野村謙二郎監督(44)から合格点をもらった。

 ちらちらと剛腕の片りんを見せていた福井が本領を発揮したのは21球目だ。そこまで高めに抜けた真っすぐが目立ったが、8回2死一塁で代打神戸と向き合うと、テンポ良く球を投げ込んだ。スライダー2球で簡単に追い込み、1ボール2ストライクからの5球目。143キロ速球を投じると、外角低めに構えた倉のミットはピクリとも動かない。抜群の球威、制球で見逃し三振を奪った。

 「最後の球は素晴らしかった。常時、ああいう球を投げられるなら素晴らしい。今日の投球は合格点をあげられる。いい速球を見せてもらったし、躍動感のある投球だった」。野村監督をうならせたが、立ち上がりは最悪だった。先頭塀内を相手に球が浮いて3球連続ボール。肝っ玉の強さが試される窮地で、強気に振る舞った。この日最速の145キロも計測。攻め抜いた末に右前打を許したが、落ち着きを取り戻した。

 「開き直って投げましたよ。四球を出すより打たれるほうがいいかなって。点を取られないのは良かった。久しぶりの試合は楽しかった。気持ち良かったですね」。2月上旬には左太もも裏の張りで別メニュー調整。早大同期の日本ハム斎藤、西武大石が着実に体を仕上げるなか、いきなり出遅れた。

 それでも自分を見失わない。沖縄から岡山・西粟倉村の実家に電話をかけた。「大丈夫。そんなに大したことないから」。両親に心配をかけまいと気遣った。日南に移ると近隣の南郷でキャンプを張る大石から食事に誘われたが、断って宿舎でシャドーピッチ。投球フォームを入念にチェックするなど、遅れを取り戻すために必死だった。

 「まだ最後の球くらいしか納得できない。どんどん投げて、開幕1軍に残れるよう、頑張りたい」。ようやく実戦段階まで進み、あらためて気を引き締める。遅れていた即戦力ルーキーが、まずは小気味良く第1歩を踏み出した。【酒井俊作】