<オープン戦:楽天10-2西武>◇5日◇長崎

 今年の新人1号だ。西武秋山翔吾外野手(22=八戸大)が5日、長崎ビッグNで行われた楽天戦で本塁打を放った。8回、右腕の土屋から右翼へ。大差のついた試合でも打席を無駄にしなかった。必死のアピール弾を渡辺久信監督(45)も「見事な本塁打だった」と絶賛。激戦区の外野手争いで、台風の目になりそうだ。

 長崎のリアス式海岸に吹き荒れる逆風を突いて、ライナー性の打球が右翼へ飛んだ。秋山は全速力で走っていた。「実戦ではプロで初めての本塁打だったので、そこまで伸びてくれるかどうか分からなかった。歓声で入ったんだと気がつきました」。今季新人初の本塁打は、初々しさと勢いを感じさせる1発だった。

 対応力が生んだ本塁打だった。第3打席まで差し込まれていた秋山は、この打席に入る前に意識を変えていた。「エンドランくらいのタイミングで待ってました。直球を待ってたんですけど、うまくスライダーを拾えてバットに乗っけることができました」。初実戦となった2月22日の練習試合では、直前にバットを指2本分短く持って結果を出したが、この日も自分で考えて対応。感じたことを実行に移せる柔軟さを、あらためて証明した。

 巨人沢村や、日本ハム斎藤、チームメートの大石に代表される投手豊作の世代の中で、野手にもいい選手がいることを知らしめた。「投手が注目される中で取ってもらった。なんとか西武の戦力として貢献できるようになりたい」という気持ちでオープン戦5試合連続安打。開幕スタメンに向けて必死のアピールを繰り返している。

 それでも謙虚な男は、大口をたたかない。岩隈から打った安打について聞かれても「飛んだコースと風が味方してくれた。エースを打ったという実感はない。変化球にも手が出ませんでしたし」と反省。猛アピールの先の目標として、新人王は頭にあるのかを聞かれても「いやいやいや。今は栗山さんの代役として試合に出してもらってるだけですから」と恐縮した。活躍の内容とは対照的な物腰。バック宙をしない新「西武秋山」は、あくまでも謙虚に競争を勝ち抜く。【竹内智信】