開幕へ向けて順調に調整を進めていた日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)に8日、緊急事態が発生した。千葉・鎌ケ谷でブルペン入りしたが、途中で投げ込みを切り上げた。右肘を気にするなど不自然な形で練習を終え「体の動きが悪かった」と異変を訴えた。当初は明日10日の中日戦(岐阜)でオープン戦2度目の登板が予定されていたが、コンディション不良のため、急きょ回避することになった。内定している5年連続の開幕投手への影響が心配される。

 5日前に150キロを超える剛速球を次々と投げ込み、自信に満ちていたのがウソのようだった。3日ヤクルト戦(札幌ドーム)で自己国内最速の156キロをマークしたダルビッシュに、異変が起きた。

 千葉・鎌ケ谷でブルペン入りしたものの、時折、右肘を気にするそぶりを見せながら、37球で突然投げ込みを終えた。通常、シーズン中には登板2日前にブルペン入りし、50球前後の投げ込みを行うだけに、あまりにも不自然だった。「全体的に良くなかった。体の動きが悪かった」。芝草投手コーチと二言三言、交わした後、納得のいかない表情のまま、マウンドを次に使う投手のためにならし始めた。

 エースの緊急事態に、チームは急きょ、明日10日に予定されていた中日戦の登板回避を決めた。無理をさせれば、大事になりかねない。幸い症状は軽そうで、次は18日のロッテ戦(QVC)に投げてオープン戦を終え、中6日で25日の開幕西武戦(札幌ドーム)に臨む予定。登板回避は1度だけで済みそうだが、突然の調整変更だけに影響が心配される。

 オープン戦初戦となった3日のヤクルト戦では、4回を2安打無失点とほぼ完璧な投球を見せた。じっくりと肉体改造に取り組んで迎えた今季は、筋肉量を増やして大幅にパワーアップ。下半身がどっしりとし、直球の重みも、すごみも増した。キャンプ中から例年以上の仕上がりを見せ、対戦相手も舌を巻くほどだっただけに、オーバーワークの反動が出たのかもしれない。

 ダルビッシュは06、07年に右肩の違和感などでオープン戦の登板を先送りしたことがある。昨年のシーズン中も、右膝の違和感によるコンディション不良から、6月5日の巨人戦(東京ドーム)で予定されていた先発を回避。8日後の中日戦(札幌ドーム)に中13日で登板したが、7回3安打無失点という完璧な投球で勝ち投手になったという前例がある。関係者の中には、ダルビッシュ流の危機管理の表れと見ている人も多い。

 日本を代表するエースに起きたアクシデントだが、開幕は約2週間先。まだ時間は残っている。