<オープン戦:広島3-6楽天>◇8日◇マツダスタジアム

 さすが赤ヘルのボス!

 広島石原慶幸捕手(31)がオープン戦に初出場し、2ランを放った。若手捕手にチャンスを与える意味合いもあり、これまで出場は見送られていた。2年連続選手会長としてチームを引っ張る石原が、本拠地マツダに駆けつけたファンに健在ぶりをアピールした。

 役者だ。5点差をつけられた直後の5回2死二塁。カウント2ボール1ストライクからの4球目。9番石原が、かつて広島に在籍した楽天2番手左腕、佐竹の内角真っすぐを振り抜いた。

 マツダスタジアムのスタンドが沸き立つ弾丸ライナーが左翼席に飛び込んだ。「良い手応えだった」。オープン戦初出場での1発は、マツダ3試合目にして本拠地チーム1号のオマケ付きだった。

 今年でプロ10年目。2年連続で選手会長を任される立場だけに、役割は理解している。白浜、会沢ら若手捕手の見極めもあり、この日がオープン戦初出場。だがライバルたちの猛アピールにも、「自分がやることをやるだけ」と意に介さない。

 福山や尾道の遠征には帯同せず、廿日市市にある大野練習場で黙々とバットを振った。フォームを修正して出番に備えたベテランの1発。野村監督も「初めて出て、大きな1本だ」と目を細めた。

 “石原軍団”のボスは背中で人の心をつかむタイプだ。1月の鹿児島での護摩行では、顔にやけどを負いながら煩悩に立ち向かった。そのままの姿でテレビ出演した際には、痛々しさが画面から伝わったのか、ネット上では石原を心配する声が寄せられた。己に克つための護摩行も4年目-。燃え盛る炎の前での精神修行は、オフの恒例行事だ。

 派手な1発にも本業優先を心がけている。先発で4回7安打3失点のジオについて「課題を意識していた。ボール自体は良かった」と分析した。「良い結果、良い内容で開幕に行けるように、また練習するだけです」。負け試合でも、寡黙なボスの存在感は際立っていた。【佐藤貴洋】