<オープン戦:阪神0-1西武>◇8日◇皇子山

 さすが1年前の救世主!

 阪神秋山拓巳投手(19)が西武戦に先発し、4回3安打無失点。ワンチャンスをモノにし、先発ローテーション争いに生き残った。真弓監督は次回オープン戦登板を明言。2軍キャンプスタートからの逆転開幕ローテへ望みをつないだ。

 期待の2年目右腕が勝負強さを発揮した。冷え込む皇子山で秋山が躍動した。ベストメンバーをそろえたレオ打線を封じ込め、スコアボードに4個の0を並べた。

 秋山

 コントロールは荒れてたけど、0点に抑えられたのはホッとしている。

 ボール球が目立ち不安定な立ち上がりも片岡、栗山を内野ゴロに抑えた。2回にはブラウンの右中間への飛球を浅井が好捕。ワンプレーをきっかけにリズムに乗った。3回にルーキー秋山から空振り。4回にも浅村を外角高めの直球でバットに空を切らせた。売り出し中のヤングレオ2人から三振を奪い、若手対決を制した。

 秋山

 球威はわからないけど、真っすぐで空振りを取れたのはこの先のきっかけになると思う。

 真弓監督も納得だ。次回もオープン戦に登板するかと問われ「そやね。いまのところ」と明言。開幕ローテ争いに関しても「というふうに見てもいいんじゃない。今日のピッチングなら」と参戦を認めた。

 昨季は高卒新人ながらシーズン終盤に4勝を挙げ、首位を争うチームの救世主になった。エース育成プランでキャンプは2軍スタート。非情にも映る処遇にも腐らず、長崎・佐世保の自主トレ中に城島から勧められた「ボクノート」作りに真摯(しんし)に励んだ。「ケガって漢字どう書くんでしたっけ?」。携帯電話で「怪我」と変換し、漢字で書き込んだ。自分の立場を見つめ直し、昇格の機会をじっと待った。ここまで実戦では6回6失点。結果を残せないもどかしさを、1軍の舞台で一気に晴らした。背水マウンドでの勝負強さは、昨季の優勝争いで鍛えたたくましさのたまものだった。

 秋山

 ファームでいい内容を残せなくて、すごく不安な中で今日を迎えた。もし次の機会があれば、自分の力をもっと出せるように頑張りたい。

 2年目のジンクスを吹き飛ばし、逆転開幕ローテを勝ち取る。【岡本亜貴子】