日本ハムのドラフト1位斎藤佑樹投手(22=早大)が9日、実戦初先発となる13日オープン戦の横浜戦(横浜)のノルマに「先発初勝利」を掲げた。前回6日の巨人戦(札幌ドーム)では中継ぎ3イニングで“プロ初勝利”を挙げた。プロ入り後最長の5イニングを投げる予定の次戦は、開幕ローテーションの座を不動のものとするためにも、責任投球回数を投げ切って、勝利へと導くつもりだ。

 佑ちゃんに、投手としての闘争本能がよみがえってきた。「点を取られないことが、目的ではないです。負けないようにしたい」。2月の練習試合から、実戦4試合で7イニング連続無失点を継続中。だが、ゼロの欲は完全に捨て、今度は勝ちにこだわる。開幕までは13日の横浜戦と、21日阪神戦(札幌ドーム)での先発舞台が用意されている。残り2試合で自らに課したのは、先発勝利の権利獲得だ。

 プロ入り初の先発で、点を取られていいとは考えていない。注目が集まるマウンドで「ペース配分は気にせず、1回1回力を出し切りたい」と予定の5イニングを全うするつもりだ。球数は80球前後がメドだけに、仮に打たれて球数が増えれば早期降板もあり得る。責任回数を投げ切れるかは、直球と変化球のコンビネーションにかかってくる。

 2日のヤクルト戦(札幌ドーム)から本格的に変化球を解禁したが、この日、ミニキャンプを張る千葉・鎌ケ谷のブルペンで重視したのは直球だった。61球のうち37球を占めた。後半は投球ごとに声が出るほど、力が入った。「(横浜戦は)真っすぐを多く使いたい。(ブルペンでは)キレとコントロールを意識しました。感触は良くなった。もっと調子を上げていきたい」。前回6日の巨人戦(同)では、ツーシームに頼りすぎたことを反省。直球系とはいえ、純粋なストレートがあってこそ、変化球が生きる。長いイニングを投げるには、直球をもう1度見直さなければならないと感じていた。

 生命線の1つ、スライダーについても「大学時代のいい頃の時に戻ってきた」と手応えをつかんできた。ブルペン投球を見守った芝草投手コーチは「スライダーはだんだん良くなると思う。(ブルペンでは)力を入れて躍動感があった」と開幕を見据えてステップアップしている姿に目を細める。斎藤の投球スタイルに欠かせない直球とスライダー。ともに精度が上がってくれば「まずは、結果を出していきたいです」という斎藤だけでなく、自然とチームにも結果がついてくる。【木下大輔】